こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です
今回は,公務員受験生の皆さんが気になる検察事務官の各種手当の内,地域手当ついて紹介していきます。
地域手当の有無や割合によって給料は大きく変わってきますので,検察庁別の支給割合や異動した際の制度などについて詳しく解説していきます。
また,地域手当は,検察事務官以外の国家公務員すべてに当てはまる内容ですので,他官庁を志望している方も是非見て参考にしてくださいね。
- 本記事で説明する内容は令和3年4月時点のものとなります。
地域手当の概要について
では,まず地域手当の概要について説明していきます。
地域手当とは,主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当で,勤務している地域に応じた支給割合を俸給等に乗じた金額が地域手当として支給されます。
地域手当の算定方法
地域手当の算定方法についてですが,以下の表の計算式で算定されます。
- 俸給,俸給の特別調整額,専門スタッフ職調整手当及び扶養手当の月額の合計額×支給割合
この計算式を見ると,毎月の月給に当たる俸給だけでなく,扶養手当にも支給割合が掛かってくるのが分かります。
扶養手当については別の記事で詳しく紹介しますが,現行法令では子供一人当たり毎月1万円の支給となっています。
また,俸給の特別調整額についても別の記事で詳しく紹介しますが,これはいわゆる管理職手当というもので,課長・統括捜査官以上の役職にならないと支給はされませんので,若手の内は全く関係のない手当となります。
ちなみに,支給額は役職に応じて50,800円~139,300円となっています。
地域手当の支給割合
地域手当の支給割合についてですが,主な支給地域については以下の表の通りとなります。
給地 | 主な支給地域 | 支給割合 |
1級地 | 東京都特別区 | 20% |
2級地 | 大阪市,横浜市 | 16% |
3級地 | さいたま市,千葉市,名古屋市 | 15% |
4級地 | 神戸市 | 12% |
5級地 | 水戸市,大津市,京都市,奈良市,広島市,福岡市 | 10% |
6級地 | 仙台市,宇都宮市,甲府市,岐阜市,静岡市,津市,和歌山市,高松市 | 6% |
7級地 | 札幌市,前橋市,新潟市,富山市,金沢市,福井市,長野市,岡山市,徳島市,長崎市 | 3% |
地域によっては地域手当が支給されない地域がありますので,同じ仕事をしていても最大で年収が20%違ってくることになります。
そのため,給料を重視する方は東京地検や大阪地検といった大規模検察庁を志望する方が望ましいですね。
具体的に地域手当がどれくらい影響してくるかについては,初任給とボーナスについて下記記事で具体的に計算していますので,参考にしてもらえればと思います。


では,次に,地方検察庁(支部含む)毎の地域手当の支給割合について見ていきたいと思います。
各地方検察庁毎の支給割合
上記の地域手当の支給割合で主な支給地域については紹介しましたが,より分かりやすくするために,各地方検察庁毎の支給割合について説明していきます。
なお,検察庁には支部がありますが,支部によっても地域手当の支給割合が異なりますので,支部毎の支給割合についても説明します。
ちなみに,下記表に記載のない地検・支部については地域手当の支給がありませんので,注意してもらえればと思います。
札幌高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
札幌地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
仙台高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
仙台地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
東京高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
東京地検 | 本庁 | 1級地 | 20% |
東京区検道路交通部 | |||
武蔵野区検 | 2級地 | 16% | |
町田区検 | |||
八王子区検 | 3級地 | 15% | |
立川支部 | 4級地 | 12% | |
横浜地検 | 本庁 | 2級地 | 16% |
分室 | |||
保土ケ谷区検 | |||
厚木区検 | |||
川崎支部 | |||
藤沢区検 | 4級地 | 12% | |
相模原支部 | |||
横須賀支部 | 5級地 | 10% | |
小田原支部 | |||
さいたま地検 |
本庁 | 3級地 | 15% |
大宮分室 | |||
川口区検 | 6級地 | 6% |
|
所沢区検 | |||
越谷支部 | |||
川越支部 | |||
熊谷支部 | 7級地 | 3% | |
さいたま地検 | 本庁 | 3級地 | 15% |
大宮分室 | |||
川口区検 | 6級地 | 6% |
|
所沢区検 | |||
越谷支部 | |||
川越支部 | |||
熊谷支部 | 7級地 | 3% | |
千葉地検 | 本庁 | 3級地 | 15% |
南町分室 | |||
市川区検 | 5級地 | 10% |
|
佐倉支部 | |||
松戸支部 | |||
木更津支部 | 7級地 | 3% | |
水戸地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
土浦支部 | |||
日立支部 | |||
竜ケ崎支部 | |||
宇都宮地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
大田原支部 | |||
小山区検 | 7級地 | 3% |
|
栃木支部 | |||
真岡支部 | |||
前橋地検 | 高崎支部 | 6級地 | 6% |
本庁 | 7級地 | 3% | |
太田支部 | |||
静岡地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
沼津支部 | |||
浜松支部 | 7級地 | 3% | |
富士支部 | |||
掛川支部 | |||
甲府地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
長野地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
松本支部 | |||
諏訪支部 | |||
伊那支部 | |||
新潟地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
名古屋高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
名古屋地検 | 豊田区検 | 2級地 | 16% |
本庁 | 3級地 | 15% | |
名古屋区検交通分室 | |||
安城区検 | 6級地 | 6% | |
岡崎支部 | |||
一宮支部 | 7級地 | 3% | |
半田支部 | |||
豊橋支部 | |||
津地検 | 四日市支部 | 5級地 | 10% |
本庁 | 6級地 | 6% | |
伊賀支部 | 7級地 | 3% | |
岐阜地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
大垣支部 | 7級地 | 3% | |
多治見支部 | |||
福井地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
金沢地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
富山地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
大阪高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
大阪地検 | 本庁 | 2級地 | 16% |
大阪区検交通分室 | |||
羽曳野区検 | 4級地 | 12% | |
堺支部 | 5級地 | 10% | |
岸和田支部 | 6級地 | 6% | |
京都地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
日向町区検 | 6級地 | 6% | |
木津区検 | |||
神戸地検 | 本庁 | 4級地 | 12% |
伊丹支部 | 5級地 | 10% | |
尼崎支部 | |||
明石支部 | 6級地 | 6% | |
姫路支部 | 7級地 | 3% | |
奈良地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
葛城支部 | 6級地 | 6% | |
大津地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
彦根支部 | 6級地 | 6% | |
長浜支部 | 7級地 | 3% | |
和歌山地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
広島高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
広島地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
山口地検 | 周南支部 | 7級地 | 3% |
岡山地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
高松高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
高松地検 | 本庁 | 6級地 | 6% |
徳島地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
阿南支部 |
福岡高検管内の支給割合
庁 | 本庁・支部 | 級地 | 支給割合 |
福岡地検 | 本庁 | 5級地 | 10% |
長崎地検 | 本庁 | 7級地 | 3% |
では,次に,地域手当の異動保障について見ていきたいと思います。
地域手当の異動保障
検察庁の異動では,地域手当の級地が異なる地域に異動することがありますが,給地が低い地域等に異動した際に,地域手当額が急に減少しないようにする制度として異動保障があります。
具体的には,異動の日から2年間,1年目は異動前に勤務していた地域の支給割合,2年目は1年目の支給割合に80%を乗じた支給割合が地域手当として支給されることになります。
異動保障の算定例
支給割合20%→0%に異動
- 異動1年目:支給割合20%
※異動前の支給割合のまま - 異動2年目:支給割合16%
※20%×80%で計算 - 異動3年目:支給割合 0%
※異動保障なし
例えば,地域手当の支給のある本庁から支給のない支部に異動する際や,法務省や最高検から地域手当の支給がない採用庁に戻るときなどに異動保障が適用されることになります。
地域手当の有る無しで年収額に大きく影響してきますので,異動保障は嬉しい保障制度ですね。
(参考)広域異動手当と地域手当の関係
参考にですが,異動距離が60㎞以上の広域的な異動等を行った職員に対しては,距離に応じて広域異動手当が3年間支給されます。
距離区分 | 300㎞以上 | 60㎞以上300㎞未満 |
支給割合 | 10% | 5% |
この広域異動手当は,地域手当が支給される場合には,当該地域手当の支給割合を減じた割合が支給されることになります。
支給割合20%→0%に異動(距離300㎞以上)
- 異動1年目:地域手当20%
※異動保障 - 異動2年目:地域手当16%
※異動保障 - 異動3年目:広域異動手当10%
支給割合10%→0%に異動(距離300㎞以上)
- 異動1年目:地域手当10%
※異動保障 - 異動2年目:地域手当8%,広域異動手当2%
※異動保障 - 異動3年目:広域異動手当10%
広域異動手当は地域手当の異動保障より1年間長い3年間支給されるので,広域異動は大変ですけど旨味がありますね。
多くは最高検や法務省から採用庁に戻る際に該当してくると思いますので,興味がある方は最高検や法務省勤務を是非希望してみてください。

- 一般職の職員の給与に関する法律(e-GAV法令検索)
※「第十一条の三,第十一条の八」参照 - 人事院規則九―四九(地域手当)(e-GAV法令検索)
※「別表第一(第二条、第三条関係)」参照
おわりに
今回は,検察事務官の各種手当の内,地域手当について説明してきました。
この記事を読んでもらえれば地域手当がどれくらい大きいものか分かってもらえたかと思いますので,志望先を決める上で地域手当がどれくらい貰えるかというのも一つの判断材料にしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。