こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は,皆さんが最も気になるであろう検察庁の官庁訪問・面接対策の内,必ず聞かれる志望動機について,実際に私が官庁訪問で話した志望動機を紹介しながら志望動機の作り方や注意点を説明していきます。
そして,検察事務官として実際に働いた経験を基に改めて考える志望動機を紹介しようと思います。
検察事務官を志望している方は是非最後まで見て,自身の志望動機作成の参考にしてくださいね。
実際に官庁訪問や面接で話していた志望動機
まず初めに,私が公務員受験生だったときに実際に検察庁の官庁訪問や面接で話していた志望動機を紹介します。
- 大学卒業後,金融機関で働いていたが,お客の利益よりも自社の利益を追求する働き方に疑問を感じて退職。
他の民間企業でも大なり小なり同様の働き方をしなければいけないため,民間企業ではなく,国民全体の奉仕者として働くことができる公務員を志望。 - 公務員の中でも,様々な仕事を経験してオールラウンダーとなる地方公務員ではなく,一つの仕事を通して専門性を身に着けることができる国家公務員になりたい。
- 当初は裁判所を志望していたが,裁判員裁判を傍聴する中で,証拠に基づいて真実を明らかにする検察官の姿を目の当たりにし,憧れを持つとともに,検察官を支える検察事務官の仕事に興味を持ち,自分も検察事務官として検察庁で働きたいと思うようになった。
では,私がどのようにしてこの志望動機を作成するに至ったかを説明しながら解説していきたいと思います。
過去の志望動機の解説
私の当時の志望動機を解説するにあたり,志望動機の「構成」と「内容」に着目して解説していきたいと思います。
志望動機の構成
まず,私の志望動機ですが,以下の構成で作られています。
- 民間企業ではなく公務員を志望する理由
- 地方公務員ではなく国家公務員を志望する理由
- 国家公務員の中で検察庁を志望する理由
この構成を見て,「③だけじゃだめなの?①と②まで必要なの?」と思った方も多いと思います。
通常の志望動機は③だけで大丈夫です。ただ,私のような社会人経験者の場合は①から話したほうが話しやすいので,私の当時の志望動機①~③の構成を取っています。
社会人経験者の面接対策の詳細については,下記記事でご確認いただけます。

社会人経験がある方はこの構成を参考にしてみてください。
社会人経験のない方は,実際の面接で話す志望動機は③だけで大丈夫ですが,面接官から民間企業や地方自治体に関して質問される可能性があるため,面接対策として①と②を考えておくことは必要です。
では次に,志望動機の内容について解説していきます。
志望動機の内容
志望動機の内容ですが,今振り返ると,「裁判の傍聴に行って興味を持った」という非常に内容が薄いものとなっています。
というのも,公務員受験当時,私の第一志望は検察庁ではなく裁判所だったんですね。
国家一般職試験も1次試験で落ちたかなと思っていたら合格してて,慌てて官庁訪問の予約をしたくらい検察事務官に興味がありませんでした。
ですので,検察庁の仕事をろくに調べずに適当に作った志望動機なので,非常に内容が薄いものとなっています。
逆に言えば,内容が薄い志望動機でも検察庁から内々定をもらえるということです。
では,実際に検察事務官として働き,仕事内容を十二分に理解した上で改めて考える志望動機を紹介したいと思います。
元検察事務官が改めて考えた志望動機例
- 私は正義感が強く,日々ニュースで流れてくる刑事事件や汚職事件を見るたびに強い憤りを感じていたので,社会正義を実現することができる検察庁で働きたいと思っている。
- 検察事務官の中でも,検察官と一緒に事件捜査を行う立会事務官となり,一つでも多くの事件の真相を明らかにするとともに,犯罪被害に遭った方々に寄り添うことができる検察事務官になりたい。
- また,検察官の下で捜査を学び,将来は副検事を目指したい。
では,どういった点を意識しながら改めて志望動機を作成したかを解説していきたいと思います。
改めて考えた志望動機の解説
私の過去の志望動機の解説と同様に,改めて考えた志望動機の「構成」と「内容」に着目ながら解説していきたいと思います。
志望動機の構成
まず,志望動機の構成として,以下の流れで作成しています。
- 検察庁を志望する理由
- 検察庁でやりたい仕事
- 検察庁での将来の目標
①の検察庁を志望する理由だけでなく,②で検察庁でやりたい仕事,③で将来の目標を述べることで,志望動機をより踏み込んだ内容にすることを意識しました。
①だけだとありきたりな志望動機ですが,②③を加えることで,自身が検察庁で働く姿を具体的にイメージできていることを伝えることができます。
また,志望動機は面接の一番最初に聞かれるため,志望動機の①~③の中でキーワードを入れ込むことで,ある程度,面接官の質問を誘導することもできます。
では,志望動機の中身について見ていきたいと思います。
志望動機の中身
志望動機の中身ですが,重要なキーワードをいくつか入れていますので,それぞれ見ていきたいと思います。
正義感
まず,一つ目のキーワードは「正義感」です。
正義感という言葉を使うと非常に安っぽくなってしまうかと思われますが,検察庁の職務上,当然,正義感は求められることであり,面接官からの質問に具体的エピソードを交えて答えることにより,検察庁への志望度の高さを裏付けることができます。
面接官からは,以下のような質問が想定されますので,正義感というキーワードを使う際は,回答を用意してくださいね
- 正義感から行動したエピソードはあるか?
- 最近気になる事件は何かあるか?
立会事務官
二つ目のキーワードは「立会事務官」です。
立会事務官は検察事務官の仕事の中でもドラマなどで注目される仕事なので,多くの受験生が立会事務官の仕事がしたいと言います。
では,差別化のために他の仕事を話した方がいいかと言うと,それはあまりお勧めしません。
というのも,立会事務官以外の仕事はいわゆる事務仕事で,他の行政職公務員との比較が弱くなってしまうからです。
でも,執行担当や徴収担当だったら刑事施設への収容者の逮捕や罰金の徴収といった検察庁独自の仕事もあるんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが,「じゃあ警察や国税局の方がいいのでは」と面接官に思われる恐れがあります。
なので,やりたい仕事はオーソドックスに立会事務官と言う方がいいと思います。
他者との差別化は立会事務官の仕事の理解を深めることで可能ですので。
立会事務官の仕事については下記の記事を参考にしてください。



また,最近の検察庁では捜査に意欲がある検察事務官をどう育成するかが課題となっています。
これは後述する副検事の志望者が減っていることに起因しています。
なので,捜査に興味があるということ具体的に伝えることができれば,アピールに繋げることができます。
ちなみに,面接官からは以下のような質問が想定されますので,立会事務官というキーワードを使う際は,回答を用意してくださいね。
- そもそも検察官になろうとは思わなかったのか?
- 立会事務官以外にやってみたい仕事はあるか?
犯罪被害者保護
三つ目のキーワードは「犯罪被害者保護」です。
犯罪被害者保護は検察庁が力を入れて取り込んでいる取組みになります。
なので,「犯罪被害に遭った方々に寄り添うことができる検察事務官になりたい」ということで,検察庁が力を入れている犯罪被害者保護についての見識があるということをアピールすることができます。
犯罪被害者保護として検察庁がどのような活動をしているかは,以下の法務省ホームページで確認できますので,検察庁志望者の方は是非見て内容を確認してみてください。
ちなみに,面接官からは以下のような質問が想定されますので,犯罪被害者保護というキーワードを使う際は,回答を用意してくださいね。
- 検察庁における犯罪被害者保護の取組みを知っているか?
- 犯罪被害者にどのように寄り添えるか?
副検事
最後のキーワードは「副検事」です。
上記でも説明しましたが,現在,検察庁では副検事を目指す検察事務官が減少しており,副検事をいかに増やすかというのが課題となっています。
実際に副検事を目指すかどうかは別にして,副検事を目指したいと言うことで,自身が捜査に興味があるということを裏付けることができ,検察庁へアピールできます。
副検事については下記の記事を参考にしてください。

ちなみに,面接官からは以下のような質問が想定されますので,副検事というキーワードを使う際は,回答を用意してくださいね。
- そもそも検察官になろうとは思わなかったのか?
- 副検事になると責任が増すが大丈夫か?
官庁訪問や面接で想定される質問に対する回答例の詳細については,下記の記事で紹介していますので,見てもらえればと思います。

では,最後に志望動機の注意点について説明したいと思います。
志望動機の注意点
元検察事務官である私が改めて志望動機を考え,どのような理由に基づいて作成したか解説してきましたが,一つ注意点があります。
それは志望動機に正解はないということです。
どういうことかと言うと,志望動機も,長所や学生時代に頑張ったこととなど同じで,ただの面接のネタに過ぎないということです。
面接官は,それらのネタに対する質疑応答を通じて,話に矛盾がないかや検察庁に適性があるかどうかなどを判断します。
ですので,志望動機はそれ単体で考えるのではなく,自身の長所や学生時代に頑張ったことなどの「自分のアピールポイント」と繋がりを持てるかという視点で考える必要があります。
そして,自分のアピールポイントが本当に検察庁にとってアピールにつながるかは,検察庁の仕事への理解が大事になりますので,業界研究を頑張ってもらえればと思います。
おわりに
今回は,志望動機の作り方について説明してきましたが,あくまで参考程度にしてもらえればと思います。
というのも,皆さんの歩んできた人生はそれぞれなので,私の志望動機を参考にしつつ,説得力のある志望動機を作ってもらえればと思います。
皆さんが素晴らしい志望動機を作り上げ,検察事務官に採用されることを願っています。