こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
本記事では国家公務員の夜勤手当について詳しく紹介していきます。
国家公務員は職種によって深夜勤務がありますので、現職の方はもちろん、内定者や受験生の方も参考にしてもらえればと思います。
本記事の内容は令和6年4月1日時点のものとなります。
夜勤手当の概要について
夜勤手当とは正規の勤務時間として深夜に勤務した職員に支給される手当になりますが、手当の概要として下記項目を見ていきます。
夜勤手当の支給要件
国家公務員に割り振られる勤務時間のことを「正規の勤務時間」といいますが、正規の勤務時間として午後10時から翌日5時までの間の勤務に対して夜勤手当が支給されます。
ポイントは「正規の勤務時間として」になりますが、深夜に正規の勤務時間を割り振る勤務形態のことを交代制勤務等といいます。
公務運営の事情により、土日の勤務や24時間勤務が必要な官署に勤務する職員
→刑務官、航空管制官、税関職員など
交代制勤務等とはいわゆるシフト制勤務になりますので、月~金の日中に勤務する通常の国家公務員にとっては関係のない手当となります。
夜勤手当の支給額
次に、夜勤手当の支給額ですが、以下の計算式によって算定されます。
勤務1時間当たりの給与額×25/100×勤務時間数
では、算定の基礎となる下記項目について見ていきます。
なお、夜勤手当の算定で端数が生じる場合がありますが、50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げる端数処理を行うこととなります。
勤務1時間当たりの給与額
まず、勤務1時間当たりの給与額ですが、以下の計算式で算定されます。
(俸給の月額(※1)+地域手当等の月額)×12/1週間当たりの勤務時間(※2)×52
※1:俸給月額+俸給の調整額
※2:通常38時間45分
なお、俸給の月額には俸給の調整額、地域手当等には広域異動手当と研究員調整手当が含まれます。
支給割合
次に、支給割合ですが、超過勤務手当と異なり、夜勤手当は25%と支給割合が固定されています。
なお、正規の勤務時間として夜勤勤務が割り振られていますので、当然、基本給も支給されています。
勤務時間数
最後に、勤務時間数ですが、一の給与期間(月単位)の全時間数によって計算します。
なお、集計した勤務時間数に1時間未満の端数がある場合は30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げます。
なお、勤務時間数は実働時間となりますので、休憩時間や睡眠時間を取る場合は勤務時間から除くことになります。
超過勤務手当の関係法規
最後に、夜勤手当の関係法規についてですが、根拠条文を確認されたい方は是非参考にしてください。
- 一般職の給与に関する法律
18条、18条の2、19条、19条の8、19条の9
- 人事院規則9-7(俸給等の支給)
11条、12条、13条 - 人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)
7条
- 一般職の職員の給与に関する法律の運用方針(給実甲第28号)
16条、18条、19条、19条の9関係 - 人事院規則9―7(俸給等の支給)の運用について(給実甲第65号)
13条関係
では、次に、夜勤手当と諸手当の関係について見ていきたいと思います。
夜勤手当と諸手当の関係について
夜勤手当と諸手当の関係についてですが、下記手当との関係で整理していきます。
宿日直手当との関係
宿日直手当と夜勤手当は深夜勤務という点で似ている手当になりますが、対象となる勤務が異なります。
宿日直手当は正規の勤務時間以外の当直等の勤務であるのに対し、夜勤手当は正規の勤務時間の通常勤務になります。
宿日直勤務とは本来業務になじまない勤務密度の薄い勤務。
そのため、宿日直手当と夜勤手当の両方の支給要件に該当することはありませんので、両手当が併給されることはありません。
超過勤務手当との関係
超過勤務手当と宿日直手当は正規の勤務時間以外の勤務という点で似ていますが、対象となる勤務が異なります。
宿日直手当は正規の勤務時間以外の当直等の勤務であるのに対し、超過勤務手当は正規の勤務時間を超える通常勤務になります。
そのため、宿日直手当と超過勤務手当の両方の支給要件に該当することはありませんので、両手当が併給されることはありません。
深夜勤務に対する超過勤務手当は25%増しで、夜勤手当の支給割合と同じ。
休日給との関係
休日の深夜に正規の勤務時間を割り振られる場合はありますが、その場合、休日給と夜勤手当の両方の支給要件を満たします。
週休日:日曜日及び土曜日
休 日:①祝日法による休日
②年末年始の休日
→12月29日~1月3日
※祝日法による休日を除く
そのため、休日の深夜勤務に対しては休日給と夜勤手当の両方が併給されることになります。
管理職員特別勤務手当との関係
夜勤手当の支給対象外である管理監督職員等も深夜勤務を行わなければならない場合がありますが、その場合管理職員特別勤務手当が支給されます。
- 週休日等の勤務
→臨時又は緊急の必要その他の公務の運営の必要による勤務 - ①以外の日の深夜(午前0時~5時)勤務
→災害への対処その他の臨時又は緊急の必要による勤務
なお、明白な臨時の又は緊急性を有する業務のための勤務の場合のみが支給対象となりますので、夜勤手当より対象勤務は狭くなります。
おわりに
今回は国家公務員の夜勤手当について紹介してきました。
給与制度は国家公務員として理解しておくべき制度になりますので、理解した上でライフプランニング等に活用してもらえたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。