こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
本記事では、副検事の給料(俸給・諸手当)について詳しく紹介していきたいと思います。
副検事を目指している人や興味がある人にとって給料がどれくらいになるかは気になるポイントだと思いますので、是非参考にしてもらえればと思います。
本記事の内容は令和5年4月時点のものとなります。
副検事の給料の概要について
副検事の給料については「検察官の俸給等に関する法律」などで定められていますので、下記項目についてそれぞれ見ていきたいと思います。
なお、副検事の詳細(概要・なり方)については下記記事で紹介していますので、合わせて見てもらえればと思います。

俸給表・俸給月額
検察事務官の俸給表は公安職(二)俸給表でしたが、副検事に任官すると検察官俸給表(副検事)が適用されます。
号俸 | 俸給月額 |
副検事特号 | 634,000円 |
副検事1号 | 574,000円 |
副検事2号 | 516,000円 |
副検事3号 | 438,900円 |
副検事4号 | 421,500円 |
副検事5号 | 387,800円 |
副検事6号 | 364,900円 |
副検事7号 | 341,600円 |
副検事8号 | 319,800円 |
副検事9号~17号 | 省略 |
副検事の初任給は、原則として任命前の給与月額の直近上位の号に格付けされます。
任官前の俸給月額が35万円の場合
→副検事6号(364,900円)に格付け
しかし、実際にはもう一つ上の号に格付けされる場合もありますので、年齢等も考慮されているかもしれません。
ちなみに、検察事務官として指定職まで出世すると副検事より給料が高いですが、定年間際にしかなれないため、生涯年収では副検事の方が圧倒的に高くなりますね。
検察事務官として出世した場合
- 指定職2号俸:761,000円
最高検事務局長
東京高検事務局長
福岡高検事務局長 - 指定職1号俸:706,000円
大阪高検事務局長
名古屋高検事務局長
広島高検事務局長
昇給
副検事の昇級期間は号俸ごとに以下のようになっています。
現在の号俸 | 昇給期間 |
副検事8号 | 2年 |
副検事7号 | 2年 |
副検事6号 | 2年6月 |
副検事5号 | 2年6月 |
副検事4号 | 2年6月 |
副検事3号 | 2年6月 |
副検事2号 | 2年6月 |
副検事1号 | 4年 |
初任給が副検事5号からスタートした場合、任官10年目で副検事1号に到達する計算になります。
38歳、副検事5号任官の場合
40歳、4号に昇給
43歳、3号に昇給
45歳、2号に昇給
48歳、1号に昇給
なお、よほどのことがない限り副検事1号までは昇給しますが、副検事特号は副検事の中でも選ばれた人しかなることができません。
副検事特号になると総括・上席副検事などの役職に就き、検察官事務取扱検察事務官が担当する事件の決裁官をする場合が多いです。
諸手当
国家公務員には諸手当がありますが、副検事も国家公務員であるため以下の手当が支給されます。
- 扶養手当(※)
- 住居手当(※)
- 通勤手当
- 単身赴任手当
- 地域手当
- 広域異動手当
- 特地勤務手当
- 寒冷地手当
- 管理職員特別勤務手当
- 期末手当
- 勤勉手当
※副検事特号~2号は支給対象外
副検事2号以上は指定職相当になるため、扶養手当と住居手当は支給対象外となります。
また、検察官の職務の特性上、以下の手当も支給対象外となります。
- 俸給の特別調整額
- 超過勤務手当
- 休日給
- 夜勤手当
- 宿日直手当
一般的な国家公務員の場合、管理監督職員になると超過勤務手当が支給されない代わりに俸給の特別調整額が支給されますが、検察官は両方とも支給対象外となっています。
これは高額な俸給月額でカバーされているということなんですかね。
- 副検事の初任給は任命前の給与月額の直近上位の号に格付け。
- 6号から1号までの昇給は2年半づつ。
- 超過勤務手当と俸給の特別調整額は支給対象外。
ちなみに、副検事に任官したての頃は俸給月額があまり変わらない+残業代・管理職手当支給対象外ということで、年収が逆に減るんじゃないかと思った方もいると思います。
実は、副検事に任官するとボーナスである期末・勤勉手当が大幅にアップしますので、年収も大幅にアップします。
では、次に、副検事の期末・勤勉手当について見ていきたいと思います。
副検事の期末・勤勉手当について
期末・勤勉手当について、副検事になると大幅にアップする要因を算定方法から説明し、副検事と検察事務官でどれくらい差があるのかについても見ていきたいと思います。
また、期末・勤勉手当の詳細については下記記事で紹介していますので、合わせて見てもらえればと思います。

期末・勤勉手当の算定方法
副検事の期末・勤勉手当の支給額ですが、一般の国家公務員と同じで以下の計算式で算定されます。
- 期末手当の支給額
{(俸給+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額}×期別支給割合×在職期間別割合 - 勤勉手当の支給額
{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額+管理職加算額}×期間率×成績率
期末・勤勉手当額の算定基礎に「役職段階別加算額」と「管理職加算額」とありますが、副検事になると両調整額が加算されますので、それぞれ見ていきたいと思います。
なお、「地域手当等」には地域手当の他に広域異動手当と研究員調整手当が含まれます。

役職段階別加算額
役職段階別加算額とは、役職に対して加算される調整額になります。
{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額}×役職段階等に応じて定められた加算割合
役職段階等に応じて定められた加算割合とは、官職の職制上の段階、職務の級等を考慮して「人事院規則9-40別表第一」で定められる下記割合になります。
区分 | 加算 割合 |
|
職務の級 | 副検事 | |
8級以上
|
特号~ 7号 | 20% |
6級、7級
|
8号~11号 | 15% |
4級、5級 | 12号、13号 | 10% |
3級 | 14号~16号 | 5% |
副検事の初任給は大体5号か6号からスタートしますので、役職段階別加算額の加算割合はいきなり最高峰の20%となります。
一般の国家公務員では職務の級が8級以上にならないと加算割合が20%になりませんが、規模の大きい地方検察庁の事務局長クラスが8級となります。
ですので、副検事7号以上で職務の級8級と同等の加算割合というのが、いかに恵まれているか分かると思います。

管理職加算額
管理職加算額とは、管理又は監督の地位にある職員に対して加算される調整額になります。
俸給月額×管理・監督の地位に応じて定められた加算割合
管理・監督の地位に応じて定められた加算割合とは、「人事院規則9-40第4条の4」で定められる下記割合になります。
官職(7級以上) | 加算 割合 |
|
区分 | 副検事 | |
指定職 一種 |
特号~5号 |
25%
|
二種 | 6号、7号 | 15% |
三種 | ー | 10% |
副検事の初任給が5号からスタートする場合、管理職加算額の加算割合はいきなり最高峰の25%となります。
一般の国家公務員では7級以上の本府省室長級からしか管理職加算額が付かないですし、加算割合25%になるのは指定職といった幹部級のみとなります。
ですので、副検事5号以上で指定職と同等の加算割合というのが、いかに恵まれているか分かると思います。
期末・勤勉手当の算定例
副検事と検察事務官が仮に同じ俸給月額とした場合、期末・勤勉手当額がどれくらい違ってくるか、地域手当の支給割合別に見ていきたいと思います。
- 俸給月額
副検事5号・検察事務官3級
両方とも387,800円と仮定 - 期末手当の期別支給割合
副検事100%・検察事務官120% - 勤勉手当の成績率
副検事116%・検察事務官96%
なお、期末手当の期別支給割合と勤勉手当の成績率は、一般職員・特定管理職員・指定職職員でそれぞれ割合が異なりますが、副検事3号~7号は特定管理職員に該当します。
上記条件で算定した期末・勤勉手当の年額は以下の表の通りとなります。
地域手当 | 期末・勤勉手当額(年間) | |
副検事 | 検察事務官 | |
20% | 2,831,250円 | 2,110,873円 |
16% | 2,750,836円 | 2,040,511円 |
15% | 2,730,732円 | 2,022,920円 |
12% | 2,670,422円 | 1,970,148円 |
10% | 2,630,215円 | 1,934,967円 |
6% | 2,549,801円 | 1,864,604円 |
3% | 2,489,490円 | 1,811,833円 |
0% | 2,429,179円 | 1,759,061円 |
俸給月額が同額と仮定した場合で約70万円の差となりましたが、実際は検察事務官の俸給月額がもう少し低いので期末・勤勉手当額の差は大きくなります。
ちなみに、指定職相当(副検事2号~特号)になると期末手当の期別支給割合と勤勉手当の成績率が特定管理職員より低くなりますので、昇給に伴う期末・勤勉手当額は下がります。
- 副検事7号以上で期末・勤勉手当の役職段階別加算額が20%。
- 副検事5号以上で期末・勤勉手当の管理職加算額が25%。
- 副検事2号以上は指定職相当のため、期末・勤勉手当額は下がる。
では、最後に、副検事の地域手当別の年収例について見ていきたいと思います。
副検事の年収例について
これまで副検事の給料の概要や期末・勤勉手当について見てきましたが、実際に副検事の年収がどれくらいになるのかについて、地域手当の支給割合別に見ていきたいと思います。
- 手当は地域手当と期末・勤勉手当のみ。
- 勤勉手当の成績率は「良好(標準)」とする。
ちなみに、検察官は大規模庁と小規模庁間を約2年毎に異動しますが、地域手当には異動保障があるため小規模庁でも高い地域手当が支給されます。
地域手当の異動保障
【例】地域手当20%→0%
異動1年目:地域手当20%
異動2年目:地域手当16%
異動3年目:地域手当 0%
地域手当の異動保障の詳細は下記記事で紹介していますので、合わせて見てもらえればと思います。

では、副検事5号から特号までの年収例をそれぞれ見ていきたいと思います。
副検事5号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 8,415,570円 | 2,831,250円 |
16% | 8,419,012円 | 2,750,836円 |
15% | 8,082,372円 | 2,730,732円 |
12% | 7,882,454円 | 2,670,422円 |
10% | 7,749,175円 | 2,630,215円 |
6% | 7,482,617円 | 2,549,801円 |
3% | 7,282,698円 | 2,489,490円 |
0% | 7,082,779円 | 2,429,179円 |
副検事4号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 9,146,887円 | 3,077,287円 |
16% | 8,857,165円 | 2,989,885円 |
15% | 8,784,734円 | 2,968,034円 |
12% | 8,567,443円 | 2,902,483円 |
10% | 8,422,582円 | 2,858,782円 |
6% | 8,132,859円 | 2,771,379円 |
3% | 7,915,568円 | 2,705,828円 |
0% | 7,698,276円 | 2,640,276円 |
副検事3号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 9,524,481円 | 3,204,321円 |
16% | 9,222,799円 | 3,113,311円 |
15% | 9,147,378円 | 3,090,558円 |
12% | 8,921,117円 | 3,022,301円 |
10% | 8,770,275円 | 2,976,795円 |
6% | 8,468,593円 | 2,885,785円 |
3% | 8,242,331円 | 2,817,527円 |
0% | 8,016,070円 | 2,749,270円 |
副検事2号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 10,203,487円 | 2,773,087円 |
16% | 9,877,045円 | 2,694,325円 |
15% | 9,795,434円 | 2,674,634円 |
12% | 9,550,603円 | 2,615,563円 |
10% | 9,387,382円 | 2,576,182円 |
6% | 9,060,939円 | 2,497,419円 |
3% | 8,816,108円 | 2,438,348円 |
0% | 8,571,276円 | 2,379,276円 |
副検事1号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 11,350,391円 | 3,084,791円 |
16% | 10,987,255円 | 2,997,175円 |
15% | 10,896,472円 | 2,975,272円 |
12% | 10,624,120円 | 2,909,560円 |
10% | 10,442,552円 | 2,865,752円 |
6% | 10,079,417円 | 2,778,137円 |
3% | 9,807,066円 | 2,712,426円 |
0% | 9,534,714円 | 2,646,714円 |
副検事特号の年収例
地域手当 | 年収額 | 期末勤勉手当 |
20% | 12,536,843円 | 3,407,243円 |
16% | 12,135,749円 | 3,310,469円 |
15% | 12,896,472円 | 3,286,276円 |
12% | 11,734,655円 | 3,213,695円 |
10% | 11,534,108円 | 3,165,308円 |
6% | 11,133,015円 | 3,068,535円 |
3% | 10,832,194円 | 2,995,954円 |
0% | 10,531,374円 | 2,923,374円 |
おわりに
今回は、副検事の給料(俸給・諸手当)について紹介してきました。
副検事任官時の初任給からどれくらいのスピードで昇給していくまで理解してもらえたと思いますので、副検事に興味を持った方は是非目指してもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。