こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
本記事では、国家公務員の諸手当の内、超過勤務手当と休日給について詳しく紹介していきたいと思います。
特に超過勤務手当は国家公務員にとって身近な手当となりますので、現役の国家公務員の皆さんはもちろん、これから国家公務員になられる方も是非参考にしてもらえればと思います。
本記事の内容は令和5年4月時点のものとなります。
超過勤務手当について
超過勤務手当とは、正規の勤務時間を超えて勤務した職員に支給される手当になります。
では、超過勤務手当について「一般職の給与に関する法律(給与法)」や「人事院規則9―97(超過勤務手当)」などで定められる下記項目をそれぞれ見ていきたいと思います。
なお、俸給の特別調整額が支給される管理監督職員は超過勤務手当の支給対象外になります。
ただ、超過勤務手当の支給がない代わりに、平日深夜(0時~5時)などに勤務した場合は管理職員特別勤務手当が支給されます。

超過勤務手当が支給される場合
超過勤務手当が支給される場合ですが、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(勤務時間法)」で定められる「正規の勤務時間」を超えて勤務する場合に支給されます。
勤務日 :月曜日~金曜日の5日間
勤務時間:1日7時間45分
1週間当たり38時間45分
※休憩時間を除く
休憩時間:60分
勤務時間が8時30分~17時15分の場合、8時30分より前と17時15分より後の勤務に対して超過勤務が支給されます。
また、正規の勤務時間を超える勤務には週休日(土日)における勤務も含みますので、週休日に勤務する場合にも超過勤務手当が支給されることになります。
- 週休日の振替を行う場合、振り替えた勤務時間(1日か4時間)に対しては超過勤務手当は支給されない。
- 振り替えた勤務時間を超える勤務に対しては超過勤務手当が支給される。
- 週休日の振替を行わない場合と振り替えた週休日に勤務する場合、勤務した時間すべてに対して超過勤務手当が支給される。
ちなみに、週休日の振替を行うことが週休日に勤務する場合の一般的な取り扱いとなります。

超過勤務手当の支給額
超過勤務手当の支給額については、以下の計算式で算定されます。
勤務1時間当たりの給与額×支給割合×勤務時間数
超過勤務手当の算定には「勤務1時間当たりの給与額」と「支給割合」が基礎になりますので、それぞれ見ていきたいと思います。
勤務1時間当たりの給与額
勤務1時間当たりの給与額は以下の計算式で算定されます。
(俸給月額+地域手当等の月額)×12/1週間当たりの勤務時間×52
要するに、1年分の俸給月額と地域手当等(※)の合計金額を1年間の勤務時間で割って1時間当たりの単価を算出した金額になります。
なお、「地域手当等」には地域手当の他に広域異動手当と研究員調整手当が含まれます。

支給割合
支給割合については、超過勤務を行った日が平日か否か、深夜(22時~5時)か否か、月60時間を超えているか否かによって以下のように変わってきます。
勤務日 | 支給割合 | |
平日 | 通常 | 125/100 |
深夜 | 150/100 | |
週休日等 (※) |
通常 | 135/100 |
深夜 | 160/100 | |
60時間超 |
通常 | 150/100 |
深夜 | 175/100 |
※休日(祝日・年末年始)の正規の勤務時間を超える勤務に対しては超過勤務手当が支給
なお、60時間を超える超過勤務に対して超過勤務手当の支給の代わりに代休時間を指定する「超勤代休時間」という制度もあります。
詳しくは人事院HP「超勤代休時間について【概要】」を確認してもらえればと思います。
- 超過勤務手当は正規の勤務時間を超える勤務に対して支給される。
- 超過勤務手当額は、勤務1時間当たりの給与額と支給割合が算定の基礎となる。
- 支給割合は、平日125%・週休日等135%・60時間越150%で、深夜勤務の場合+25%となる。
では、次に、休日給について見ていきたいと思います。
休日給について
休日給については、「給与法」や「人事院規則9―43(休日給)」などによって定められていますので、下記項目についてそれぞれ見ていきたいと思います。
なお、超過勤務手当と同様に、俸給の特別調整額を受ける管理監督職員は休日給の支給対象外になります。
ただ、休日給の支給がない代わりに、週休日や休日などに勤務(※)した場合は管理職員特別勤務手当が支給されます。
※週休日の振替などを行わない場合

休日給が支給される場合
休日給が支給される場合ですが、「勤務時間法」や「国民の祝日に関する法律(祝日法)」で定められる「休日」に勤務する場合(※)に支給されます。
※代休日の指定を行わない場合
週休日:日曜日及び土曜日
休 日:①祝日法による休日
②年末年始の休日
→12月29日~1月3日
※祝日法による休日を除く
ちなみに、代休日の指定を行うことが休日に勤務する場合の一般的な取り扱いとなります。
なお、代休日に再び代休日の指定(再代休)を行うことはできませんので、代休日に勤務する場合は休日給が支給されることになります。
休日に勤務を命じられた勤務時間(正規の勤務時間)に対しては休日給が支給されるが、正規の勤務時間を超える勤務に対しては超過勤務手当が支給される。
休日給の支給額
休日給の支給額は以下の計算式で算定されます。
勤務1時間当たりの給与額×支給割合(135/100)×勤務時間数
休日給の計算式は、支給割合以外は超過勤務手当の計算式と同じで、超過勤務手当の支給割合が場合によって異なるのに対し、休日給は135%と決まっています。
※勤務1時間当たりの給与額の算定方法
- 休日給は代休日の指定を行わない休日の正規の勤務時間に対して支給される。
- 代休日に勤務する場合にも支給される。
- 休日給額は、勤務1時間当たりの給与額と支給割合(135%)が算定の基礎となる。
では、最後に、超過勤務手当と休日給の算定例を見ていきたいと思います。
超過勤務手当・休日給の算定例
超過勤務手当と休日給の算定例について、下記の場合について見ていきたいと思います。
国家一般職(大卒程度)1年目
- 行政職俸給表(一)1級25号俸
- 俸給月額 :185,200円
- 超過勤務手当:支給割合125%
- 休日給 :支給割合135%
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
休日給 (1時間) |
20% | 1,324円 | 1,654円 | 1,787円 |
16% | 1,279円 | 1,599円 | 1,727円 |
15% | 1,268円 | 1,585円 | 1,712円 |
12% | 1,235円 | 1,544円 | 1,668円 |
10% | 1,213円 | 1,517円 | 1,638円 |
6% | 1,169円 | 1,461円 | 1,578円 |
3% | 1,136円 | 1,420円 | 1,534円 |
0% | 1,103円 | 1,379円 | 1,489円 |
国家一般職(高卒程度)1年目
- 行政職俸給表(一)1級5号俸
- 俸給月額 :154,600円
- 超過勤務手当:支給割合125%
- 休日給 :支給割合135%
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
休日給 (1時間) |
20% | 1,105円 | 1,381円 | 1,492円 |
16% | 1,068円 | 1,335円 | 1,442円 |
15% | 1,059円 | 1,323円 | 1,429円 |
12% | 1,031円 | 1,289円 | 1,392円 |
10% | 1,013円 | 1,266円 | 1,367円 |
6% | 976円 | 1,220円 | 1,318円 |
3% | 948円 | 1,185円 | 1,280円 |
0% | 921円 | 1,151円 | 1,243円 |
公安職(二)俸給表適用1年目
- 公安職俸給表(二)1級24号俸
- 俸給月額 :215,700円
- 超過勤務手当:支給割合125%
- 休日給 :支給割合135%
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
休日給 (1時間) |
20% | 1,541円 | 1,927円 | 2,081円 |
16% | 1,490円 | 1,863円 | 2,012円 |
15% | 1,477円 | 1,847円 | 1,994円 |
12% | 1,439円 | 1,798円 | 1,942円 |
10% | 1,413円 | 1,766円 | 1,908円 |
6% | 1,362円 | 1,702円 | 1,838円 |
3% | 1,323円 | 1,654円 | 1,786円 |
0% | 1,285円 | 1,606円 | 1,734円 |
検察事務官が公安職(二)俸給表が適用される時期
- 大卒程度 :採用2年目
- 高卒程度(専門卒):採用4年目
- 高卒程度(高 卒):採用6年目
おわりに
今回は、国家公務員の諸手当の内、超過勤務手当と休日給について説明してきました。
給料が低い若手の国家公務員にとって超過勤務手当や休日給は非常にありがたい手当になりますので、しっかり理解してワークライフバランスを充実させてもらえたらと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。