こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は,検察事務官の各種手当の内,超過勤務手当について紹介していきます。
実際に働く上で残業が全くないということはありませんので,検察事務官志望の方には超過勤務手当の算定方法や支給割合について,是非参考にしてもらえればと思います。
また,検察事務官以外の国家公務員すべてに当てはまる内容ですので,他官庁を志望している方も参考にしてもらえればと思います
- 本記事で説明する内容は令和4年4月時点のものとなります。
正規の勤務時間について
超過勤務手当の説明の前に,国家公務員の正規の勤務時間について説明したいと思います。
一週間の勤務時間
国家公務員の勤務時間については,一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(以下「勤務時間法」という)に一週間当たり38時間45分,月~金の5日間に7時間45分割り振ると規定されています。
勤務時間の始めと終わりについては各省庁で定められていますが,基本は午前8時30分~午後5時15分(1時間休憩)となります。
ちなみに,都市部の検察庁においては通勤混雑緩和のため以下のように班分けして勤務時間の始めをずらしています。
A班:午前8時30分~午後5時15分
B班:午前9時~午後5時45分
C班:午前9時15分~午後6時
この一週間の正規の勤務時間外に仕事をする場合,超過勤務手当が支給されることになります。
週休日・休日【参考】
公務員として働きだすと「週休日」と「休日」という言葉を見聞きすることになります。
同じかと思うかもしれませんが,週休日と休日は勤務時間法でそれぞれ規定されていますので,参考に紹介します。
- 週休日:日曜日及び土曜日
- 休 日:①祝日
②12月29日~1月3日
つまり,普通の土日は週休日,祝日や年末年始は休日ということになります。
この週休日と休日に出勤する場合は超過勤務手当の支給ではなく振替休日や代休を取得することになりますが,振替休日や代休日に勤務すると超過勤務手当等が支給されることとなります。
- 勤務時間法(e-GAV法令検索)
※「第5条,6条,14条」参照
では,次は本題である超過勤務手当について見ていきたいと思います。
超過勤務手当の概要について
超過勤務手当とは,一般職の給与に関する法律(以下「給与法」という)によって規定されている正規の勤務時間を超えて勤務した職員に支給される手当のことで,支給額は以下となります。
勤務1時間当たりの給与額×支給割合×勤務時間数
超過勤務手当の算定には「勤務1時間当たりの給与額」と「支給割合」が基礎となりますので,それぞれどのように求められるのか見ていきたいと思います。
勤務1時間当たりの給与額
勤務1時間当たりの給与額は以下の式で算定されます。
- (俸給月額+地域手当等※の月額)×12/1週間当たりの勤務時間×52
※広域異動手当・研究員調整手当含む
要するに,1年分の俸給月額と地域手当等の合計金額を1年間の勤務時間で割って1時間当たりの単価を算出するということです。
俸給月額と地域手当の詳細については下記記事でご確認いただけます。


支給割合
支給割合については,超過勤務を行った日が平日か否か,深夜か否か,月60時間を超えているか否かによって以下のように変わります。
- 平日の月曜日~金曜日
→125% - 上記における勤務以外の勤務
→135% - 午後10時~午前5時の間(深夜)の勤務
→上記+25% - 月60時間を超えた分
→150%(深夜175%)
残業は基本的に平日で深夜勤務もほとんどないので,支給割合は基本125%と思ってもらえればと思います。
- 給与法(e-GAV法令検索)
※「第16条,18条の2,19条」参照 - 人事院規則九―九七(超過勤務手当)(e-GAV法令検索)
※「第二条」参照
では,最後に,超過勤務手当の算定例を見ていきたいと思います。
超過勤務手当の算定例
超過勤務手当の算定例についてですが,採用1年目の場合と公安職俸給表適用1年目の場合についてそれぞれ見ていきたいと思います。
採用1年目(大卒程度)の場合
- 行政職俸給表(一)1級25号俸
- 俸給月額:182,000円
- 超勤時間:平日20時間
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
超過勤務手当額 (20時間) |
20% | 1,302円 | 1,628円 | 32,560円 |
16% | 1,259円 | 1,573円 | 31,460円 |
15% | 1,248円 | 1,560円 | 31,200円 |
12% | 1,215円 | 1,519円 | 30,380円 |
10% | 1,194円 | 1,492円 | 29,840円 |
6% | 1,150円 | 1,438円 | 28,760円 |
3% | 1,118円 | 1,397円 | 27,940円 |
0% | 1,085円 | 1,356円 | 27,120円 |
採用1年目(高卒程度)の場合
- 行政職俸給表(一)1級5号俸
- 俸給月額:150,600円
- 超勤時間:平日20時間
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
超過勤務手当額 (20時間) |
20% | 1,076円 | 1,345円 | 26,900円 |
16% | 1,040円 | 1,300円 | 26,000円 |
15% | 1,031円 | 1,289円 | 25,780円 |
12% | 1,004円 | 1,256円 | 25,120円 |
10% | 987円 | 1,233円 | 24,660円 |
6% | 951円 | 1,188円 | 23,760円 |
3% | 924円 | 1,155円 | 23,100円 |
0% | 897円 | 1,121円 | 22,420円 |
公安職俸給表適用1年目の場合
- 公安職俸給表(二)1級24号俸
- 俸給月額:212,300円
- 超勤時間:平日20時間
地域手当 | 勤務1時間当たりの給与額 | 超過勤務手当額 (1時間) |
超過勤務手当額 (20時間) |
20% | 1,517円 | 1,896円 | 37,920円 |
16% | 1,466円 | 1,832円 | 36,640円 |
15% | 1,453円 | 1,816円 | 36,320円 |
12% | 1,416円 | 1,770円 | 35,400円 |
10% | 1,390円 | 1,737円 | 34,740円 |
6% | 1,340円 | 1,675円 | 33,500円 |
3% | 1,302円 | 1,627円 | 32,540円 |
0% | 1,264円 | 1,580円 | 31,600円 |
実際の支給額について【参考】
超過勤務手当の算定については上記で説明したとおりですが,実際に超過勤務手当が100%支給されるというわけではありません。
というのも,予算の関係上,超過勤務手当を無制限に支給することができないからです。
ちなみに,私の勤務していた検察庁では40%の支給でした。
河野太郎大臣が国家公務員の残業代は全て支給すると述べていますので,各検察庁でも残業代100%支給となることを願っています。
おわりに
今回は,検察事務官の各種手当の内,超過勤務手当について説明してきました。
超過勤務がゼロということはないと思いますので,超過勤務した場合にどれくらい支給されるか理解し,ワークライフバランスとの調整を考えてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。