給与制度

国家公務員の俸給の特別調整額(管理職手当)と管理職員特別勤務手当について【元検察事務官が徹底解説】

こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

本記事では、国家公務員の俸給の特別調整額管理職員特別勤務手当について詳しく紹介していきたいと思います。

これらの手当はいわゆる管理職手当になりますので、出世に興味がある方は是非参考にしてもらえればと思います

本記事の内容は令和5年4月時点のものとなります。

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俸給の特別調整額の概要について

俸給の特別調整額とは、管理又は監督の地位にある職員(管理監督職員)に支給される手当で、民間で言ういわゆる管理職手当に当たります

では、俸給の特別調整額について一般職の給与に関する法律(給与法)」や「人事院規則9-17(俸給の特別調整額)」などで定められる下記項目を見ていきたいと思います

ちなみに、俸給の調整額」という似ているものがありますが、これは特殊な官職に対する調整額になりますので、俸給の特別調整額とは別物と理解してもらえればと思います。

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支給対象者

俸給の特別調整額の支給対象者管理監督職員になりますが、「人事院規則9-17別表第一」により組織ごとに対象となる官職が定められています

対象となる官職の一例として、検察庁における管理監督職員は以下となっています

組織 官職 区分
最高
検察庁
・事務局長
・課長
一種
・検事総長秘書官
・室長(人事院の定めるものに限る)
二種
高等
検察庁
・事務局長 二種
・事務局次長 三種
・課長
・検察監査官
四種
高等
検察庁
支部
・課長 四種
地方
検察庁
・事務局長 二種
・事務局次長 三種
・主席捜査官 四種
(※)
・課長
・次席捜査官
四種
・統括捜査官 五種
地方
検察庁
支部
・課長
・主席捜査官
四種
・統括捜査官 五種

検察庁
・課長(人事院の定めるものに限る)
・統括捜査官
五種

※人事院が別に定める場合は二種又は三種

要するに、出先機関においては長級以上からが支給対象官職ということになります

国家公務員の最高幹部である指定職職員(※)は俸給の特別調整額の適用外
※最高検事務局長など

支給額

俸給の特別調整額の支給額は「人事院規則9-17別表第二」によって俸給表別に定められています

俸給の特別調整額の支給額

俸給表別、職務の級別、俸給の特別調整額の区分別に定められた額を支給

俸給の特別調整額の区分は官職ごとに一種五種と定められていますが、数字が小さくなるほど支給額は多くなります

支給額の一例として、検察事務官に適用される公安職(二)俸給表の場合は以下となっています

職務の級 区分 支給額
10級 一種 139,300円
9級
一種 130,300円
二種 104,200円
8級
一種 119,100円
二種   95,700円
三種   83,800円
7級
二種   90,900円
三種   79,500円
四種   68,100円
6級
三種   78,200円
四種   67,100円
五種   55,900円
5級
四種   64,600円
五種   53,800円
4級
四種   61,000円
五種   50,800円

上記表を見ると職務の級が同じでも官職によって支給額が異なることが分かります。

官職名は組織ごとに異なるので上下関係は分かりづらいですが、検察事務官の官職名については下記記事を参考にしてもらえればと思います

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他の手当との関係

俸給の特別調整額と他の手当との関係ですが、支給額が算定基礎となる手当や管理監督職員になると適用除外となる手当がありますので、それぞれ見ていきたいと思います。

算定基礎となる手当

俸給の特別調整額が算定基礎となる手当ですが、以下の手当があります

  • 地域手当
  • 広域異動手当

上記手当は算定基礎額に支給割合を乗じて支給額を算定する手当になりますが、算定基礎に俸給の特別調整額を含む手当となります

地域手当・広域異動手当の算定式

俸給、俸給の特別調整額、専門スタッフ職調整手当及び扶養手当の月額の合計額×支給割合

地域手当等の支給割合は最大で20%になりますので、俸給の特別調整額は地域手当等の支給額にも大きな影響を与えることになります

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適用除外となる手当

国家公務員の諸手当には「給与法19条の8」により特定の職員についての適用除外が定められていますが、管理監督職員には以下の手当が適用除外とされています

  • 超過勤務手当
  • 休日給
  • 夜勤手当

上記手当は時間外勤務等に対して支給される手当になります

要するに、民間企業と同様、国家公務員も管理職になると残業代等が支給対象外になるということになります。

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ただ、管理監督職員が時間外勤務する場合は後述する管理職員特別勤務手当が支給されることになります

  • 俸給の特別調整額の支給対象者管理監督職員(※)
    ※出先機関においては課長級以上
  • 官職ごとに定められる区分(一種~五種)によって支給額が決定。
  • 管理監督職員には超過勤務手当等が適用除外となる。

では、次は、管理職員特別勤務手当について見ていきたいと思います

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管理職員特別勤務手当の概要について

管理職員特別勤務手当とは、管理監督職員等が臨時又は緊急の必要等によりやむを得ず週休日等平日深夜(正規の勤務時間外)に勤務した場合に支給される手当になります。

支給対象となる勤務

  1. 週休日又は休日に勤務した場合
  2. 週休日等以外の日の深夜午前0時~5時)に勤務した場合

では、管理職員特別勤務手当について「給与法」や「人事院規則9-93(管理職員特別勤務手当)などで定められる下記項目を見ていきたいと思います

なお、国家公務員の正規の勤務時間については下記記事で紹介していますので、合わせて見てもらえればと思います

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支給対象者

管理職員特別勤務手当の支給対象者は「給与法19条の3」により定められていますが、勤務した日によって支給対象者は異なります

  1. 週休日等の勤務
    →管理監督職員・指定職職員・専門スタッフ職職員(※)
  2. 平日深夜の勤務
    →管理監督職員

※職務の級が2級以上の職員

俸給の特別調整額の支給対象となる管理監督職員は週休日等も平日深夜のいずれも管理職員特別勤務手当の支給対象となります

  管理監督職員 指定職職員
俸給の特別調整額
管理職員特別勤務手当
(週休日等の勤務)
管理職員特別勤務手当
(平日深夜の勤務)

支給対象となる勤務

管理職員特別勤務手当の支給対象となる勤務は「給与法19条の3」により以下のように定められています

  1. 週休日等の勤務
    →臨時又は緊急の必要その他の公務の運営の必要による勤務
  2. 平日深夜の勤務
    →災害への対処その他の臨時又は緊急の必要による勤務

つまり、週休日等や平日深夜に処理することを要することが明白な臨時の又は緊急性を有する業務のための勤務の場合のみが支給対象となる勤務になります

そのため、以下の業務の場合は支給対象外の勤務となります。

支給対象外となる勤務例

  • 各種資料の整理
  • 通常の勤務時間内に一般的に行われているデータの計測、管理等
  • 所属機関以外の機関等が主催する諸行事等への儀礼的な参加出席
  • 所属機関が主催する諸行事等への担当者以外の立場での参加出席

なお、週休日等に勤務する場合の一般的な取り扱いは週休日の振替又は代休日の指定となりますが、その場合は管理職員特別勤務手当は不支給となります

支給額

管理職員勤務手当の支給額は「人事院規則9-93第2条、3条」によって以下のように定められています

管理職員特別勤務手当の支給額

俸給の特別調整額の区分等に応じ

週休日等の勤務:18,000円~6,000円
※6時間を超える勤務は5割増

平日深夜の勤務:  6,000円~3,000円

俸給の特別調整額の区分等に応じた支給額をまとめると以下の表の通りとなります

区分 週休日等の勤務
(6時間超)
平日深夜の勤務
指定職 18,000円
(27,000円)
支給対象外
一種 12,000円
(18,000円)
6,000円
一種 10,000円
(15,000円)
5,000円
三種   8,500円
(12,750円)
4,300円
四種   7,000円
(10,500円)
3,500円
五種   6,000円
(  9,000円)
3,000円

ちなみに、同一週に同一勤務(週休日等・平日深夜)が2回以上ある場合は、連続した1回の勤務とみなされますので、注意が必要となります。

  • 管理職員特別勤務手当は管理監督職員等週休日等平日深夜に勤務した場合に支給される。
  • 俸給の特別調整額の区分(一種~五種)に応じて支給額が決定。
  • 明白な臨時緊急性を有する業務のための勤務以外は支給対象外
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おわりに

今回は、国家公務員の俸給の特別調整額管理職員特別勤務手当について説明してきました。

内定者や受験生にとって管理職になれるのは遠い未来の話になりますが、自身が出世した際の給料事情をイメージするのに役立ててもらえたらと思います

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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