こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
ネットで検察事務官の仕事は激務だって記事を見かけることが多々ありますが,結構的外れなことが書かれているため,今回は,立会事務官の残業について紹介していきます。
残業時間
まず,残業時間についてですが,担当している検察官に配点されている事件数によります。
軽微な事件だろうが重大事件だろうが,検察事務官がやる仕事はほとんど変わらないので,配点されている事件が多いか少ないかで残業時間が決まってきます。



検察官の種類と事件配点数
検察官は,大きく分けると,検事と副検事に分けられます。
検事は,司法試験に合格しなければ任官できないところ,副検事は検察事務官などが内部試験に合格することで,任官することができます。
副検事が扱う事件は,当然,検事が扱う事件よりも軽微な事件を担当しますが,その分,配点される事件数は多くなります。
検察事務官を志望する人の中には,副検事に興味がある人も多いと思いますので,副検事試験については別の記事で詳しく紹介します。
次に,検事ですが,任官年数によって呼び名が変わってきます。
1年目は新任検事,2~3年目は新任明け,4~5年目はA庁,5~6年目はA庁明け,7年目以降はシニア検事(7~8年目を再A庁と言う場合あり)と呼ばれます。
ちなみにA庁とは東京地検や大阪地検といった規模が大きい地方検察庁のことを言い,検事は,A庁と地方を行ったり来たりします。
扱う事件の難易度も,一般的に,任官年数が長くなるにつれて難しくなり,事件配点数は少なくなります。
実際の残業時間
私は,副検事→A庁検事→シニア検事の順番で立会事務官を務めましたが,シニア検事のときが一番暇で,副検事のときが一番忙しかったです。
シニア検事のときは,ほとんど定時帰りで,副検事のときは,だいたい2時間程度の残業でした。
ちなみに,残業代ですが,私の働いていた検察庁(部制庁)では,残業時間の約40パーセントしかもらえませんでした。
小さい検察庁(非部制庁)では100パーセント出るなんて話を聞いたことがありますが,小さい検察庁だと,そもそも事件数が少ないので,残業自体が少ないです。
時間外の取調べ
取調べは通常,勤務時間中に行われますが,事件の被害者や目撃者といった参考人の取調べの時間帯は,参考人の都合も最大限考慮するため,夕方に行うことが多く,その場合は取調べが終わるまで帰れません。
交通事件だと,一つの事件で被害者と目撃者が多数いる場合もあるため,交通部に配属されると残業時間は自然と増えます。
ちなみに,どうしても夜に予定がある場合は,他の立会事務官に応援を頼むこともできます。
というのも,立会事務官の仕事はどの立会事務官がやっても同じなので,立会事務官同士,協力しながら仕事をしています。
繁忙期
事件は毎日起きているので,事件が多く発生する繁忙期というものはありませんが,未済事件減らさないといけない時期である年末は,事務官にとって繁忙期と言えます。
ちなみに未済事件とは,起訴や不起訴といった事件処理が終わっていないもので,多くは処理する期間が決まっていない在宅事件で占めます。
在宅事件はいわゆる書類送検と言われる事件になります。
日頃は,被疑者の勾留期間(10日~20日)が決まっている身柄事件を優先し,事件処理を行いますが,年末に向けては,全庁的に未済事件を0件に近づけるという目標があるため,身柄事件と並行して在宅事件の取調べと事件処理をガンガン行います。
そのため,11月頃から年末までは,私は毎日9時頃まで残業していました。
【参考】特別捜査部の残業時間は異常
特別捜査部,いわゆる特捜部は,東京地検,大阪地検,名古屋地検の三か所にしかありませんが,特捜部に配属されると,残業時間と休日出勤はとんでもないことになります。
私は応援勤務で特捜部に配属したことがありましたが,事件に着手すると,事件が終わるまでの約1カ月間,毎日23時過ぎまで,土日休みなしで勤務しました。
ちなみに,大きな事件をやるときは,東京地検、大阪地検、名古屋地検以外の検察庁からも応援勤務で検察官と立会事務官が派遣されてきます。
特捜部に配属されると,残業代だけで基本給を超えてきますが,ワークライフバランスを考えると,特捜部は向き不向きがあると思います。
特捜部の話はまた別の記事で紹介します。
おわりに
今回は,立会事務官の残業について書かせてもらいましたが,最後まで読んでいただき,ありがとうございました。
ネットでの激務情報は,実際に働いていない人がイメージで書いているものなので,あまり信用しないほうがいいです。
政令市役所の本庁勤務の方がよっぽど忙しいですしね・・・。
次回は,休日出勤や宿直・日直勤務について記事を書きたいと思いますので,よろしくお願いいたします。