検察事務官の仕事

立会事務官の仕事【取調べ編】

こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

今回は,検察事務官の仕事のうち,立会事務官の仕事を紹介します。

立会事務官は,若手検察事務官がほぼ必ず経験する仕事で,私も2年目から4年目まで立会事務官をしていました。

ちなみに,立会事務官とは,ドラマ『HERO』でいうと,松たか子や北川景子が演じていた役柄になります。

立会事務官の仕事は多岐に渡るため,今回は立会事務官の仕事のうち,取調べに係る仕事を紹介します。

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被疑者・参考人の呼び出し

検察官によっては検察官自身が被疑者や参考人の呼び出しを行いますが,基本的には立会事務官の仕事になります。

そのためには,ダブルブッキング等を避けるために,スケジュール管理が大事になります。

私は,エクセルで自作のスケジュール表を作成して管理していました。

勾留中の被疑者の呼び出し

勾留中の被疑者の呼び出しには,その事件の捜査担当者に連絡をします。

刑事も取調べを行いますし,取調べの他にも,現場の実況見分などもあるため,検察庁への呼び出し日は早めに伝える必要があります。

ちなみに,勾留中の被疑者の押送方法は,集中押送と個別押送と二種類あります。

集中押送は午前と午後の決められた時間に,バスで色んな留置所を回って被疑者を押送する方法で,個別押送は,担当警察署の警察官が車で連れてくる方法になります。

在宅の被疑者の呼び出し

身柄拘束されていない被疑者の呼び出しは,電話で呼び出す方法と書面で呼び出す方法があります。

働いている人も多いため,呼び出し日の希望を言われる場合もありますが,基本的に被疑者の呼び出しは平日の日中以外受け付けないため,厳しく対応しなければなりません。

ちなみに,再三の呼び出しにも応じない場合は,逮捕することになります。

参考人の呼び出し

被害者や目撃者等の参考人を呼び出す際は,最大限,参考人の都合を優先します。

なので,夜間や,土・日に取調べを行うこともあります。

また,取調べの場所も,検察庁が遠い場合,参考人の最寄りの警察署で行うこともあります。

取調べ準備

取調べにあたっては,取調べを円滑に進めるために色々と準備をしておく必要があります。

事件内容の把握

取調べに立会うにあたり,立会事務官も事件内容を把握しておく必要があります。

これは,事件内容が分かっていないと供述調書を作成する際に支障が出るからです。

また,これは上級者ですが,事件内容が頭に入っていると,取調べ中に検察官にアドバイスをしたり,被疑者に矛盾点を質問できたりします。

供述調書の入力準備

取調べにおいては,検察官が被疑者や参考人の供述人から聴き取った内容を,証拠にすべく,供述調書を作成します。

供述調書は,検察官が供述人の面前で,調書にする内容を口述(くじゅ)し,それを立会事務官がパソコンに入力する方法で作成します。

そのため,検察官が固有名詞等を口述したさいに,速やかに入力できるよう単語登録をしておきます。

また,検察官によっては決まった言い回しがあるため,よく使う言葉も単語登録しておくと,パソコン入力が楽になります。

録音・録画の準備

被疑者が身体拘束されている事件のうち,特定の事件,例えば裁判員裁判の事件では,取調べの全てを録音・録画で記録をしなければなりません。

そのため,取調べが始まる前に,録音・録画ができるように,カメラのセット,機材の準備をしておく必要があります。

録音・録画機は,通常,取調室に設置してありますが,出張先でも録音・録画ができるよう,移動式の録音・録画機もあります。

証拠品の借り出し

取調べにおいて,検察官が事件の証拠を被疑者や参考人に見せる場合があります。

そのため,事前に証拠品を証拠品担当から借りておく必要があります。

見せる証拠品としては圧倒的に防犯カメラ映像が多いため,証拠品を借りるとともに,防犯カメラ映像再生用のパソコンを借り,映像の再生方法を確認しておく必要があります。

通訳人の手配

被疑者や参考人が外国人で,日本語を話せない場合は,通訳人を手配する必要があります。

その際には,事件管理に手配を依頼しますが,タガログ語などのレアな言語は通訳人の数も少ないため,早めに依頼をしないと怒られてしまいます。

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取調べ

検察官の聴取中

検察官が被疑者や参考人から話を聞いているときは,立会事務官のスタンスは二つに分かれます。

それは,検察官と供述人の話を聞くことと,別の事務処理作業を行うことの二つです。

私は,立会事務官1年目のときは後者でしたが,2年目・3年目は前者で,気になったら供述人に質問したり,パソコンのモニター越しに検察官に質問したりしていました。

ちなみに,私の質問をきっかけに,余罪と共犯者の存在が明らかになった事件もあったので,皆さんが立会事務官になったら,どんどん取調べに参加していってもらえたらと思います。

調書作成

取調べ準備のところでも説明しましたが,検察官が供述人から聞いた話を供述調書にするには,供述人の面前で口述し,立会事務官がパソコンに入力する方法で作成します。

検察官が口で言った文章を立会事務官がパソコンに打ち込んでいくので,当然,立会事務官にはタイピングスキルが求められます

検察官によっては文字を打つスピードが遅いとイライラして,中には舌打ちしてくる検察官もいるため,ブラインドタッチの練習はしておいたほうがいいかもしれません。

また,調書の作成方法にも一定のルールがあり,例えば,文章一行ごとに改行することや,「、」ではなく「,」を使うなどがあります。

検察官の口述を入力し終えると,調書を印刷し,検察官が改めて供述人に読み聞かせを行い,内容に誤りがなければ調書の最後の行に署名・押印と,調書各頁右下欄外への確認印を押してもらいます。

通訳人がいる場合は,通訳人にも署名してもらいます。

ちなみに,供述人から修正や追記を求められた場合は,印刷した供述調書に立会事務官が手書きで文章を加えます。

手書きのため,漢字が分からないと平仮名で書かないといけないので,多少の漢字知識がないと恥ずかしい思いをするかもしれないですね。

取調べ状況等報告書の作成

身柄拘束されている被疑者や被告人を取調べる際には,必ず取調べ状況等報告書を作成しなければなりません。

記録する内容としては,主に取調べをしている時間ですので,取調べ開始時間と終了時間を記録する必要があります。

取調べ終了時には,取調べ状況等報告書を供述人に見せ,これにも署名・押印してもらい,供述人の退出後には,余白に退出時間を記載します。

どうして取調べ状況等報告書を作らないといけないかというと,身体拘束されている供述人に対して不当な取調べがされていないか確認するためです。

これを見ればどれくらいの時間,取調べを行っていたか明らかになるからです。

取調べ後

取調べ後は,供述調書の締め作業等の事務処理を行います。

調書の締めとは,調書の最後に検察官と立会事務官の署名・押印をし,調書をホッチキス止めしたうえ,各頁の裏面と表面を割り印する作業のことです。

割り印は,後から調書を改ざんできないようにするためで,全ての頁に押します。

ちなみに私の最高割り印枚数は79枚でした。

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おわりに

今回は,立会事務官の仕事のうち,取調べについて紹介してきましたが,皆さんが検察事務官となり,立会事務官となれば,ほぼ毎日行う仕事になります。

なので,この記事を読んでいただき,皆さんが検察庁で働くイメージを少しでも掴んでいただければ幸いです。

引き続き立会事務官の仕事を紹介していきますので,楽しみにお待ちください。

今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。

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