こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は検察事務官の福利厚生の内,年次休暇について紹介していきます。
検察庁は捜査機関なので,なかなか年次休暇は取れないんじゃないかと思われていますが,実際は割と自由に取得ができます。
年次休暇の取りやすさも志望先を選ぶ基準の一つになると思いますので,公務員受験生の方は是非最後まで見てくださいね。
国家公務員の年次休暇の概要
まず,年次休暇の概要について,付与日数・翌年への繰り越し・申請方法を説明していきたいと思います。
なお,国家公務員の休暇制度は法律(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)や人事院規則等で定められています。
付与日数
まず,年次休暇の付与日数についてですが,毎年1月1日に20日間付与されます。
なお,この付与日数は以下の表のとおり在職期間によって変動するため,新規採用職員の1年目の年次休暇は20日以下となります。
在職期間 | 日数 |
一月に達するまでの期間 | 二日 |
一月を超え二月に達するまでの期間 | 三日 |
二月を超え三月に達するまでの期間 | 五日 |
三月を超え四月に達するまでの期間 | 七日 |
四月を超え五月に達するまでの期間 | 八日 |
五月を超え六月に達するまでの期間 | 十日 |
六月を超え七月に達するまでの期間 | 十二日 |
七月を超え八月に達するまでの期間 | 十三日 |
八月を超え九月に達するまでの期間 | 十五日 |
九月を超え十月に達するまでの期間 | 十七日 |
十月を超え十一月に達するまでの期間 | 十八日 |
十一月を超え一年未満の期間 | 二十日 |
このため,新規採用職員に付与される年次休暇は,4月1日付け採用で15日間,10月1日付け採用で5日間となります。
翌年への繰り越し
では,次に,年次休暇の翌年への繰り越しについてですが,最大で20日間を繰り越しできます。
そのため,20日間を繰り越すことにより,毎年付与される20日間と合わせて40日間の年次休暇が付与されることになります。
なお,20日を超える日数は繰り越すことができませんので,超えた分は残念ながら無くなってしまいます。
当然,年次休暇の買い取り制度は公務員にありませんので,年次休暇を無駄にしないように積極的に年次休暇を取っていくことが必要ですね。
申請方法
最後に,年次休暇の申請方法ですが,所属ごとに備え付けられ,個人個人に用意されている「休暇簿(年次休暇用)」に以下の必要事項を記入して申請します。
- 期間(年次休暇取得期間)
※1時間単位から取得可能 - 残日数・時間
- 自身の確認印
- 請求月日
(参考)休暇簿(年次休暇用)
年次休暇の申請は,休暇簿に検事正までの決裁を貰う必要がありますが,個人としては所属している部課のトップの事務官(次席捜査官や課長)から決裁印をもらい,あとは総務課に提出して年次休暇の申請は終わりとなります。
検事正までの決裁は総務課で行い,決裁後は所属に休暇簿が戻ってきます。
ちなみに,紙媒体の休暇簿が一般的でしたが,ペーパーレス化のため,地検によってはシステムで出退勤や休暇を管理しているところもあるようです。
- 1月1日に年次休暇20日間付与
※4月採用職員には15日間付与
※10月採用職員には5日間付与 - 翌年への繰りしは最大は20日間
- 1時間単位で取得可能
- 一般職の職員の勤務時間、休暇に関する法律(e-GAV法令検索)
※「第十七条」参照 - 人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)(e-GAV法令検索)
※「第十八条の二,十九条,二十条、二十七条」参照
では,次に,実際に検察事務官がどのように年次休暇を取れるのか見ていきたいと思います。
検察事務官の年次休暇の取り方
ここからは,実際の検察事務官の年次休暇の取り方について見ていきたいと思います。
検察事務官の中でも,検察官のペアとなって捜査・公判に従事する立会事務官と,検務部門や事務局部門等に配属されている検察事務官では夏休みの取り方が異なるため,それぞれ見ていきたいと思います。
立会事務官の年次休暇の取り方
まず,立会事務官についてですが,捜査に支障がなければ自由に年次休暇を取ることができます。
ですので,以下のような日は年次休暇を取得する絶好の日となります。
- ペアである検察官が不在の日
※休暇や研修参加など - 取調べが無い日
検察官が不在の日
立会事務官の場合,検察官がいないと基本的に仕事が無いため,検察官が不在の日は多くの立会事務官が年次休暇を取ります。
検察官が不在になる日は意外と多く,検察官の休暇日・研修日・会議日などがあります。
また,年次休暇は1時間単位から取得可能ですので,例えば検察官が午後から会議の場合に午後から休暇を取るなんてこともできますね。
ちなみに,夏休みで検事が長期休暇を取るときは,立会事務官も合わせて取ることができます。
立会事務官の夏休みの詳細については以下の記事でご確認いただけます。

取調べが無い日
基本的には毎日のように取調べがありますが,たまに検察官は出勤しているけど取調べは無いなんて日もあります。
立会事務官の日々の仕事のメインは取調べ時になりますので,急ぎの事務処理が無ければ特にいなくても支障がありません。
ですので,取調べが無い日は自由に年次休暇を取ることができますし,出勤して必要な事務処理が終われば,時間単位で年次休暇を取って自由に帰ることもできますね。
では逆に,「取調べがある日は絶対に休めないのか?」と思われた方もいるかと思いますので,取調べがある日にどうしても外せない用事がある場合を見ていきたいと思います。
取調べがあるけどどうしても休みたいとき
まず結論から言うと,取調べがある日でも年次休暇を取ることができます。
というのも,立会事務官の仕事は,同じ立会事務官であれば誰でもできる仕事になるため,代わりに取調べに入ってくれる人がいれば年次休暇を取ることができます。
そのため,例えば前々から旅行を計画していた場合であったり,急遽病気になった場合なんかにも,同期や後輩などに代わりをお願いすることで,自由に休むことができます。
立会事務官同士は持ちつ持たれつで協力し合っていますね。
- 検察官が不在の日は立会事務官も休みやすい。
- 取調べが無い日も休みやすい。
- 取調べがあっても他の立会事務官に代わってもらえると休める。
立会事務官以外の年次休暇の取り方
立会事務官以外の検務部門や事務局部門などの検察事務官についてですが,基本的に仕事をチームで行っているため,立会事務官ほど自由に休むことはできません。
ただ,検察事務官の仕事にはその人でなければできないという仕事はありませんので,休みたいときは普通に年次休暇を取ることができます。
ちなみに,一人で軽微な事件捜査を担当する検察官事務取扱検察事務官については,検察官と同様の働き方になるため,自分で調整して自由に年次休暇を取ることができます。
※検察官事務取扱検察事務官の詳細については別の記事で紹介予定
では,最後に,検察庁と市役所の年次休暇の取りやすさについて参考に比較してみたいと思います。
市役所との比較
検察庁と市役所を比較した場合,検察庁の方が年次休暇は取りやすい雰囲気でした。
市役所で年次休暇を取りずらい雰囲気になる理由としては以下のものが考えられます。
- 窓口業務がある。
→職員数が減ると負担が増える。 - 個人個人に業務が割り振られている。
→その人以外に対応できる人がいない。
この点,検察庁には窓口業務がありませんし,仕事もその人以外にできない仕事というものは存在しませんので,自由に年次休暇が取れる雰囲気があると思われます。
年末年始なんかも積極的に年次休暇を取得するよう内部通知が回ってきますので,この日を休めば9連休になる日があれば,多くの人が積極的に年次休暇を取ってましたね。
ですので,プライベートを充実させたい人には,割と自由に年次休暇を取得できる検察事務官をお勧めします。
ちなみに市役所職員のときは全然年次休暇を消化できず,多くの日数を捨てることになりましたね。
おわりに
今回は,検察事務官の福利厚生の内,年次休暇について紹介しました。
割と年次休暇が取りやすく,メリハリをつけた働き方ができるのが検察庁のメリットかなと思いますので,志望先に悩んでいる公務員受験生の方は,是非参考にしてみてください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。