こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
検察庁が捜査機関であることから,休日に急な呼出しで仕事に行かなければいけないなどのイメージをお持ちの方もいるかと思います。
そこで,今回は,立会事務官の休日出勤について紹介していきたいと思います。
元検察事務官である私の実体験から休日出勤のリアルを紹介しますので,是非見て参考にしてもらえればと思います。
休日出勤する場合について
立会事務官の休日出勤は,基本的には以下のパターンとなります。
- 参考人の取調べ
- 勾留請求手続き
- 事件発生現場への立会い【本部係】
では,それぞれの残業する場合の詳細について見ていきたいと思います。
参考人の取調べ
基本的に取調べは平日の勤務時間内に行われますが,事件の被害者や目撃者などの参考人の取調べは,参考人の都合を優先しますので,休日に行われることがあります。
頻度としては,基本は平日に来庁お願いをするので,月に1回あるかないかでしたね。
また,取調べのために休日出勤する場合,取調べが終わって調書の締め作業が終われば帰っても大丈夫ですので,取調べ開始の待ち時間も含めると大体2~3時間程度の勤務となります。
ちなみに,元々旅行予定などを入れてて,どうしても休日出勤できない場合もあるかと思いますが,その場合は別の立会事務官に応援を頼むことができますので,割と融通が利きますね。
立会事務官の取調べ時の仕事については,下記記事でご確認いただけます。

勾留請求手続き
逮捕した被疑者の勾留請求手続きですが,基本は日直担当の検察官が行うことになります。
しかし,以下のような被疑者の事件送致の場合だと,日直担当検察官に任せず,担当検察官自らが勾留請求手続きを行うことがあります。
- 担当している被疑者の別件再逮捕の場合。
- 事件相談を受けていた被疑者が逮捕された場合。
上記の場合でも,多くの場合は日直担当検察官に勾留請求手続きを任せますが,被疑者が否認している事件であったり,初期の証言が大事になってくるなどと担当検察官が判断した場合は,自ら勾留請求手続きを行います。
その場合は担当の立会事務官も出勤し,勾留請求手続きのための取調べに対応することになります。
また,平日の勾留請求手続きだと,裁判官から勾留状が発布されるまで立会事務官も帰れませんが,休日の場合だと日直担当がいますので,日直担当に勾留状の点検を任せて帰っても大丈夫となります。
※勾留請求の事務については,別の記事で紹介予定
ちなみに,日直勤務では,休日に警察等から送致されてくる事件の勾留請求手続きをすることが仕事内容となりますね。
※日直勤務については,別の記事で紹介予定
事件発生現場への急行・立会い
立会事務官の仕事として,凶悪事件が発生したら,休日・夜間問わず,検察官と一緒に現場に急行し,警察の現場検証に立会うことをイメージする人は多いと思いますが,これは本部係検事を担当する立会事務官のみが従事します。
本部係検事は各地検に1名(東京地検や大阪地検などは2名)しかいないので,ほとんどの立会事務官にとっては関係のない話となります。
そのため,ネット上に「検察事務官は事件現場に急行しなければいけないので激務」などと書かれていることがありますが,これはデマとなりますね。
ちなみに,私が所属していた地検の本部係検事と担当立会事務官には,専用の携帯電話とタクシーチケットが配布され,休日・夜間いつでも現場に急行できるようになっていたようですね。
【参考】特別捜査部の休日出勤
特別捜査部の立会事務官ですが,事件着手直前や事件着手中は基本的に休日はなく,毎日出勤となります。
そのため,特捜部はワークライフバランスとはかけ離れた部署になりますが,政治家の汚職事件や大企業の脱税事件など,特捜部でしかできない事件を捜査できるため,非常にやりがいのある仕事にはなります。
あと,特捜部だと振替休日に設定した日も基本的に休めないので,超過勤務手当が基本給を超えるなんてことはざらにありますので,興味がある方は是非志望してみてください。
特別捜査部については,下記記事でご確認いただけます。

では,次に,休日出勤した場合の週休日の振替・代休について見ていきたいと思います。
週休日の振替・代休について
これまで,休みの日に出勤することを便宜上「休日出勤」と記載してきましたが,実は法律上,休みの日は「週休日」と「休日」の二つに分類されています。
- 週休日
→勤務時間を割り振らない日
→土曜日及び日曜日 - 休 日
→勤務時間が割り振られている日ではあるが,職務専念義務が免除される日
→祝日及び年末年始(12/29~1/3)
出勤した日が週休日が休日で異なってきますので,それぞれ見ていきたいと思います。
また,珍しいですが週休日と休日が被る場合もありますので,そのときの場合についても見ていきたいと思います。
週休日の振替
まず,週休日に勤務する場合ですが,基本的に週休日を別の日に振替えることになります。
なお,週休日の振替は1日(7時間45分)か4時間単位でしかできませんので,勤務時間が1日や4時間を超えた部分については,超過勤務手当(135%)の支給となります。
そして,週休日の振替は勤務する週休日の前4週間~後8週間以内のいずれかの日と決まっていますので,任意の日を指定して申請することになります。
ちなみに,週休日の振替を行った日をさらに振替(再振替)することはできませんので,その場合は超過勤務手当(135%)が支給されることになります。
超過勤務手当については,下記記事でご確認いただけます。
https://moto-kensatsujimukan.com/workstyle-tachiai-overtime/
代休日の指定
次に,休日に勤務する場合ですが,週休日の振替と同様,代休日を指定することになります。
なお,週休日の振替と異なり,代休日の指定は1日(7時間45分)単位でしかできませんので,勤務時間が1日未満の部分については,休日給(135%)の支給となります。
そして,代休日の指定は勤務する休日の後8週間以内のいずれかの日と決まっていますので,任意の日を指定して申請することになります。
ちなみに,週休日の振替と同様,指定した代休日の変更(再代休)はできませんので,代休日に勤務する場合は休日給(135%)が支給されることになります。
週休日と休日が被る場合
最後に,週休日と休日が被る場合ですが,この場合は週休日の振替と代休日の指定をそれぞれ行うことができるため,2日間休みを取ることができます。
このように週休日と休日が被る日のことを「ダブルの日」と呼びます。
1日しか勤務していないのにおかしくないかと思われるでしょうが,現在の法律上,このような制度となっていますので,法律が改正されない限りダブルの日は存続しますね。
なお,ダブルの日に4時間勤務をした場合は,4時間の振替休日の取得と4時間分の休日給(135%)の支給となります。
1年にあるかないかのダブルの日に出勤することはまずないでしょうが,日直などでたまたまダブルの日に勤務することになったら,ラッキーと思って2日間楽しんでもらえればと思います。
- 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(e-GAV法令検索)
※「第六条,八条,十四条,十五条」参照 - 人事院規則一五―一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)(e-GAV法令検索)
※「第六条,十七条」参照
おわりに
今回は立会事務官の休日出勤について紹介してきました。
意外と立会事務官の休日出勤が多くないことと,振替休日や代休日など代わりの日にしっかり休めることが分かってもらえたかなって思いますので,検察庁内々定者やこれから検察事務官を目指す方は是非参考にしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。