給与制度

国家公務員の勤勉手当(ボーナス)について【元検察事務官が徹底解説】

こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

本記事では国家公務員の勤勉手当について詳しく紹介していきます

国家公務員にとってのボーナスに当たりますので、現職の方はもちろん、内定者や受験生の方も参考にしてもらえればと思います

本記事の内容は令和6年4月1日時点のものとなります。

 

スポンサーリンク

勤勉手当の概要について

勤勉手当とは民間における賞与等のうち考課査定分に相当する手当になりますが、手当の概要として下記項目を見ていきます

勤勉手当の支給対象者

勤勉手当の支給対象者ですが、給与法に定められる基準日~基準日前1か月以内に在職している職員が支給対象となります

基準日 支給日
 6月1日
 6月30日
12月1日
12月10日

基準日に在職している職員だけが支給対象者ではなく基準日前1か月以内に退職又は死亡した職員も支給対象者となります

なお、以下の職員は基準日に在職していても勤勉手当の支給対象外となります

  • 休職者(無給・刑事・専従)
    ※公務災害等による休職は除く
  • 停職者(懲戒処分)
  • 派遣職員
    国際機関・官民人事交流など
  • 育児休業をしている職員
    ※基準日以前6か月以内に勤務した期間がある職員は除く
  • 休業をしている職員
    自己啓発等・配偶者同行

ちなみに、勤勉手当の支給日が土日の場合は直近の金曜日が支給日となります

【令和6年度】勤勉手当の支給日

  •  6月期(夏):  6月28日(金)
  • 12月期(冬):12月10日(火)

勤勉手当の支給額

次に、勤勉手当の支給額についてですが、以下の計算式で算定されます

勤勉手当の支給額

{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額+役職段階別加算額管理職加算額期間率×成績率

では、算定の基礎となる下記項目について見ていきます

俸給の月額・地域手当等

俸給の月額地域手当等には以下の手当が含まれています

  • 俸給の月額
    俸給、俸給の調整額
  • 地域手当等
    地域手当、広域異動手当、研究員調整手当

そのため、俸給の調整額の支給対象となる検察官事務取扱検察事務官裁判所書記官になると勤勉手当の支給額が上がることになります

国家公務員の俸給(基本給)と俸給の調整額について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では、国家公務員の給与制度の内、俸給...
国家公務員の地域手当について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では、国家公務員の地域手当について詳...
国家公務員の広域異動手当について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では、国家公務員の広域異動手当につい...

役職段階別加算額

役職段階別加算額とは、役職に対して加算される調整額になります

役職段階別加算額の算定方法

{(俸給+専門スタッフ職調整手当)の月額+これらに対する地域手当等の月額}×役職段階等に応じて定められた加算割合

役職段階等に応じて定められた加算割合は下記表の通りとなります

職務の級 加算割合
8級以上
20%
7級・6級
15%
5級・4級 10%
3級   5%

つまり、職務の級が3級以上の職員が加算対象になります

管理職加算額

管理職加算額とは、管理又は監督の地位にある職員に対して加算される調整額になります

管理職加算割合の算定方法

俸給月額×管理・監督の地位に応じて定められた加算割合

管理・監督の地位に応じて定められた加算割合は下記表の通りとなります

区分 加算割合
指定職
一種
25%
二種
15%
三種 10%

つまり、職務の級が7級以上かつ俸給の特別調整額の区分が指定職一種~三種に該当する官職が加算対象になります

国家公務員の俸給の特別調整額(管理職手当)について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では国家公務員の俸給の特別調整額につ...

期間率

期間率とは基準日以前6か月以内の勤務期間によって調整するための割合になります

勤務期間 割合
6か月
100%
5か月15日以上6か月未満
  95%
5か月以上5か月15日未満
  90%
4か月15日以上5か月未満
  80%
4か月以上4か月15日未満
  70%
3か月15日以上4か月未満
  60%
3か月以上3か月15日未満
  50%
2か月15日以上3か月未満
  40%
2か月以上2か月15日未満
  30%
1か月15日以上2か月未満
  20%
1か月以上1か月15日未満
  15%
15日以上1か月未満
  10%
15日未満
    5%

勤務期間が6か月で100%となりますが、新規採用職員4月採用)の6月期は勤務期間が2か月になるため期間率は30%となります

基準日以前6か月以内の勤務期間

  6月期(夏)12月2日~  6月1日
12月期(冬):  6月2日~12月1日

なお、勤務期間には除算される期間がありますので、事由に該当する期間は全期間が除算されることになります

  • 停職者の在職期間
  • 非常勤職員の在職期間
  • 専従休職者の在職期間
  • 育児休業職員の在職期間
  • 自己啓発等休業職員の在職期間
  • 配偶者同行休業職員の在職期間
  • 休職にされていた期間
    ※公務災害等による休職は除く
  • 育児短時間勤務職員の在職期間
    ※算出率を乗じた期間は除く
  • 給与を減額された期間
    ※欠勤、副業禁止等による減額
  • 負傷等による30日超の休職期間
    ※30日超には週休日等は除く
    ※公務災害等による休職は除く
  • 30日超の介護休暇の期間
    ※30日超には週休日等は除く
  • 30日超の介護時間の期間
  • 30日超の育児時間の期間
  • 基準日以前6か月の全期間に勤務した日がない場合、全期間

成績率

成績率とは勤勉手当の支給月数の総額を職員の勤務成績に応じて配分したものになります

人事院は、毎年、期末・勤勉手当の支給月数を見直すが、「令和6年人事院勧告」により支給月数は年間4.50月分4.60月分+0.10月分)に引き上げ。

  • 令和6年度6月期※
    期末手当:1.225月(支給済み)
    勤勉手当:1.025月(支給済み)
  • 令和6年度12月期※
    期末手当:1.275月(+0.05月)
    勤勉手当:1.075月(+0.05月)
  • 令和7年度以降(6月、12月期)※
    期末手当:1.25月
    勤勉手当:1.25月

※一般職員の場合

なお、職務の級が7級未満の一般職員、7級以上の特定管理職員※、指定職職員によって異なる配分率となります
※俸給の特別調整額の区分が一種又は二種

成績区分 一般職員
6月期 12月期※
特に優秀 205/100以下
121.5/100以上
205/100以下
121.5/100以上
優秀 121.5/100未満
110/100以上
121.5/100未満
110/100以上
良好(標準) 98.5/100 98.5/100
良好でない 90/100以下 90/100以下

※令和6年人事院勧告以前の成績率

成績区分 特定管理職員
6月期 12月期※
特に優秀 245/100以下
145.5/100以上
245/100以下
145.5/100以上
優秀 145.5/100未満
131/100以上
145.5/100未満
131/100以上
良好(標準) 118.5/100 118.5/100
良好でない 109/100以下 109/100以下

※令和6年人事院勧告以前の成績率

成績区分 指定職職員
6月期 12月期※
特に優秀
優秀 210/100以下
112.5/100以上

※事務次官等
105/100

210/100以下
112.5/100以上

※事務次官等
105/100

良好(標準) 99/100 99/100
良好でない 90.5/100以下 90.5/100以下

※令和6年人事院勧告以前の成績率

ちなみに、直近(半年分)の業績評価に応じて成績率の成績区分が決定されますが、非常に優秀」以上が「特に優秀」、「優良」以上が「優秀」の成績区分に割り振られます

  • 人事評価の評語区分は「卓越して優秀」、「非常に優秀」、「優良」、「良好標準)」、「やや不十分」、「不十分」の6段階。
  • 「特に優秀」と「優秀」の成績区分に割り当てられる人数の上限が決まっているため、業績評価が「非常に優秀」以上でも「良好標準)」になる可能性あり。

勤勉手当の関係法規

最後に、勤勉手当の関係法規についてですが、根拠条文を確認されたい方は是非参考にしてください

法律

では、次に、勤勉手当の算定例について見ていきたいと思います

スポンサーリンク

勤勉手当の算定例について

勤勉手当の算定例について、下記の場合について見ていきたいと思います

なお、参考に期末手当の金額も掲載していますが、算定方法などの詳細については下記記事をご確認ください

国家公務員の期末手当(ボーナス)について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では国家公務員の期末手当について詳し...

国家総合職(大卒程度)1年目

国家総合職大卒程度1年目の勤勉手当額は以下の計算式で算定されます

  •  6月期
    (230,000円※+地域手当)×期間率30%×成績率98.5%
  • 12月期
    (230,000円※+地域手当)×期間率100%×成績率98.5%

※令和6年人事院勧告による改定後の金額

勤勉手当額(6月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 101,430円 81,558 182,988円
16%   98,049円 78,839 176,888円
15%   97,203円 78,159 175,362円
12%   94,668円 76,120 170,788円
10%   92,977円 74,761 167,738円
  6%   89,596円 72,042 161,638円
  3%   87,060円 70,003 157,063円
  0%   84,525円 67,965 152,490円

勤勉手当額(12月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 338,100円 271,860 609,960円
16% 326,830円 262,798 589,628円
15% 324,012円 260,532 584,544円
12% 315,560円 253,736 569,296円
10% 309,925円 249,205 559,130円
  6% 298,655円 240,143 538,798円
  3% 290,202円 233,346 523,548円
  0% 281,750円 226,550 508,300円

国家一般職(大卒程度)1年目

国家一般職大卒程度1年目の勤勉手当額は以下の計算式で算定されます

  •  6月期
    (220,000円※+地域手当)×期間率30%×成績率98.5%
  • 12月期
    (220,000円※+地域手当)×期間率100%×成績率98.5%

※令和6年人事院勧告改定後の金額

勤勉手当額(6月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 97,020円 78,012 175,032円
16% 93,786円 75,411 169,197円
15% 92,977円 74,761 167,738円
12% 90,552円 72,811 163,363円
10% 88,935円 71,511 160,446円
  6% 85,701円 68,910 154,611円
  3% 83,275円 66,960 150,235円
  0% 80,850円 65,010 145,860円

勤勉手当額(12月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 323,400円 260,040 583,440円
16% 312,620円 251,372 563,992円
15% 309,925円 249,205 559,130円
12% 301,840円 242,704 544,544円
10% 296,450円 238,370 534,820円
  6% 285,670円 229,702 515,372円
  3% 277,585円 223,201 500,786円
  0% 269,500円 216,700 486,200円

国家一般職(高卒程度)1年目

国家一般職高卒程度1年目の勤勉手当額は以下の計算式で算定されます

  •  6月期
    (188,000円※+地域手当)×期間率30%×成績率98.5%
  • 12月期
    (188,000円※+地域手当)×期間率100%×成績率98.5%

※令和6年人事院勧告改定後の金額

勤勉手当額(6月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 82,908円 66,664 149,572円
16% 80,144円 64,442 144,586円
15% 79,453円 63,887 143,340円
12% 77,380円 62,220 139,600円
10% 75,999円 61,109 137,108円
  6% 73,235円 58,887 132,122円
  3% 71,162円 57,220 128,382円
  0% 69,090円 55,554 124,644円

勤勉手当額(12月期)

支給
割合
期末手当 勤勉手当 合計額
20% 276,360円 222,216 498,576円
16% 267,148円 214,808 481,956円
15% 264,845円 212,957 477,802円
12% 257,936円 207,401 465,337円
10% 253,330円 203,698 457,028円
  6% 244,118円 196,290 440,408円
  3% 237,209円 190,735 427,944円
  0% 230,300円 185,180 415,480円
スポンサーリンク

おわりに

今回は国家公務員の勤勉手当について紹介してきました

給与制度は国家公務員として理解しておくべき制度になりますので、理解した上でライフプランニング等に活用してもらえたらと思います

最後まで読んでいただきありがとうございました。

スポンサーリンク



関連記事
error: Content is protected !!