こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
本記事では、国家公務員の特殊勤務手当について詳しく紹介していきます。
国家公務員には様々な特殊勤務がありますので、現職の方はもちろん、内定者や受験生の方も参考にしてもらえればと思います。
本記事の内容は令和6年4月1日時点のものとなります。
特殊勤務手当の概要について
特殊勤務手当とは著しく危険、不快、困難等著しく特殊な勤務に従事する職員に支給される手当になりますが、手当の概要として下記項目を見ていきます。
特殊勤務手当の種類
特殊勤務手当の種類ですが、対象業務によって以下27種類設定されています。
- 高所作業手当
- 坑内作業手当
- 爆発物等作業手当
- 水上等作業手当
- 航空手当
- 死刑執行手当
- 死体処理手当
- 防疫等作業手当
- 有害物取扱手当
- 放射線取扱手当
- 異常圧力内作業手当
- 狭あい箇所内等検査作業手当
- 道路上作業手当
- 災害応急作業等手当
- 山上等作業手当
- 移動通信等作業手当
- 航空管制手当
- 夜間特殊業務手当
- 夜間看護等手当
- 用地交渉等手当
- 鑑識作業手当
- 刑務作業監督等手当
- 護衛等手当
- 犯則取締等手当
- 極地観測等手当
- 国際緊急援助等手当
- 小笠原業務等手当
ちなみに、検察事務官が対象となる特殊勤務手当は⑦死体処理手当と㉔犯則取締等手当になりますが、詳細は下記「検察庁の特殊勤務手当について」で解説します。
特殊勤務手当の対象業務・手当額
特殊勤務手当の対象業務・手当額ですが、人事院規則によりそれぞれ定められています。
- 対象業務
足場の不安定な高所で行う建設作業等 - 手当額
1日200~520円
- 対象業務
トンネル、鉱山等の坑内で行う作業等 - 手当額
1日450~2,600円※
- 対象業務
爆発する危険性のある物を直接取り扱う作業等 - 手当額
1日250~2,600円
- 対象業務
灯標上等で行う大型蓄電池及び灯具の交換作業等 - 手当額
1日(1回)450~3,900円※
- 対象業務
航空機に搭乗して行う業務 - 手当額
1時間1,200~5,100円※
- 対象業務
死刑を執行する作業又はこれを直接補助する作業 - 手当額
1回20,000円
- 対象業務
死体の収容作業等 - 手当額
1日1,000~1,600円※
- 対象業務
感染症に汚染されている区域で行う患者の看護等 - 手当額
1日290~380円※
- 対象業務
青酸ガス等を使用して行う輸出入植物のくん蒸作業等 - 手当額
1日290円
- 対象業務
エックス線等の放射線を人体に対して照射する作業等 - 手当額
1月7,000円
- 対象業務
潜水作業等 - 手当額
1時間210~1,500円※
- 対象業務
船舶の検査等 - 手当額
1日250~320円
- 対象業務
交通を遮断しない道路上で行う維持修繕の作業等 - 手当額
1日300~450円
- 対象業務
災害発生時に河川の堤防等で行う応急作業等 - 手当額
1日710~1,080円※
- 対象業務
勤務環境劣悪な山上の無線中継所等で行う保守の作業等 - 手当額
1日260~410円
- 対象業務
犯罪捜査等現場に出動して行う通信施設の設置作業等 - 手当額
1日560円※
- 対象業務
航空交通管制部等で行う航空管制業務等 - 手当額
1日240~1,380円
- 対象業務
深夜における通信設備の運用又は保守の業務等 - 手当額
1回410~1,600円
- 対象業務
深夜における患者の看護等 - 手当額
1回1,620~7,300円※
- 対象業務
公共事業に必要な土地の取得等のために行う交渉業務 - 手当額
1日1,000円※
- 対象業務
指紋、手口等を利用して行う犯罪鑑識等の作業 - 手当額
1日450円
- 対象業務
刑務官等が行う被収容者の刑務作業の監督等 - 手当額
1日(1回)600~1,400円※
- 対象業務
天皇又は皇族の護衛等 - 手当額
1日(1回)320~2,000円※
- 対象業務
国税犯則事件の調査、取締り等 - 手当額
1日550~7,700円※
- 対象業務
南極における観測業務等 - 手当額
1日1,800~4,100円※
- 対象業務
国際緊急援助活動として行う救助業務等 - 手当額
1日1,400~7,500円※
- 対象業務
小笠原諸島に所在する官署における業務 - 手当額
1日300~700円※
※手当額の※は加算措置あり
なお、人事院規則により併給禁止の手当、作業時間が4時間未満の場合に手当額が60/100となる手当が規定されています。
特殊勤務手当の関係法規
最後に、特殊勤務手当の関係法規についてですが、根拠条文を確認されたい方は是非参考にしてください。
- 一般職の給与に関する法律
13条、19条の8
では次に、検察庁の特殊勤務手当について見ていきたいと思います。
検察庁の特殊勤務手当について
検察事務官が対象となる特殊勤務手当は下記2つの手当となりますので、それぞれ見ていきたいと思います。
ちなみに、検察官は特殊勤務手当の対象外となります。
死体処理手当
死体処理手当ですが、人事院規則11条により下記2つの作業が特殊勤務として規定されています。
死体の収容等
検察事務官の業務で「死体の収容等」に該当するものは司法解剖の立会になります。
なお、死体の収容等に係る死体処理手当額は1日当たり1,000円となります。
検視
検視については、刑事訴訟法229条2項で検察事務官も行うことができると規定されています。
なお、検視に係る死体処理手当額は1日当たり1,600円となります。
- 変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。
- 検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。
ちなみに、検察官が検察事務官や司法警察員に検視させることを「代行検視」といいますが、検察事務官が代行検視を行うことはほぼあり得ません。
ですので、実際として検察事務官の死体処理手当は死体の収容等の場合のみとなります。
反則取締等手当
犯則取締等手当ですが、人事院規則28条の5第3号により規定されていますが、下記4つの業務が対象となります。
なお、犯則取締等手当額はいずれの業務も1日当たり550円となります。
逮捕状の執行
逮捕状の執行とは、通常逮捕における逮捕状を示したとき、緊急逮捕又は逮捕状の緊急執行における逮捕理由を告げたときが該当します。
なお、検察事務官が逮捕状を執行する機会は独自捜査事件の場合がほとんどとなります。
独自捜査事件は特別捜査部に代表されるが、司法警察員による送致事件が独自捜査に発展する場合もある。
ちなみに、逮捕状の執行場所が裁判所・検察庁・刑務所・拘置所・警察署等の庁舎内で行うものは支給対象外となります。
収容
収容とは、被告人等に収容状等を示したとき又は収容等の理由を告げたときが該当します。
- 執行担当
とん刑者等への収容状執行 - 徴収担当
罰金未納者への労役場留置執行 - 立会事務官
求令起訴時の勾留状執行
ちなみに、逮捕状の執行と同様に、収容状の執行場所が裁判所・検察庁・刑務所・拘置所・警察署等の庁舎内で行うものは支給対象外となります。
捜索・差押え
捜索・差押えとは、捜索差押許可状を示して被疑者宅等を捜索し、証拠品を差押えることが該当します。
なお、逮捕状の執行と同様に、検察事務官が捜索・差押えする機会は独自捜査事件の場合がほとんどとなります。
ちなみに、捜索・差押え業務に従事した時間が4時間未満の場合は支給対象外となります。
同行状執行等
同行状執行等とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)」に基づく下記4つの業務が該当します。
- 同行状の執行
- 出頭命令に基づく対象者の護送
- 鑑定入院命令の執行
- 鑑定入院決定の執行
同行状執行等には該当事件の担当立会事務官としてだけではなく応援勤務として従事することもあります。
おわりに
今回は、国家公務員の諸手当の内、特殊勤務手当について説明してきました。
国家公務員にどのような特殊勤務があるのか理解してもらえたと思いますので、自身の志望先を考える際に是非参考にしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。