こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
本記事では国家公務員の宿日直手当について詳しく紹介していきます。
国家公務員は職種によって宿日直勤務がありますので、現職の方はもちろん、内定者や受験生の方も参考にしてもらえればと思います。
本記事の内容は令和6年4月1日時点のものとなります。
宿日直手当の概要について
宿日直手当とは宿日直勤務を行った職員に支給される手当となりますが、手当の概要として下記項目を見ていきます。
宿日直手当の支給要件
正規の勤務時間以外の時間に行う設備等の保全、外部との連絡及び文書の収受を目的とする勤務その他の人事院規則で定める断続的な勤務のことを宿日直勤務といいます。
要するに、宿日直勤務とは来の業務になじまない勤務密度の薄い勤務ということになります。
そして、宿日直勤務に対して宿日直手当が支給されます。
宿泊を伴う夜間の勤務(宿直勤務※)と宿泊を伴わない昼間の勤務(日直勤務)を合わせて宿日直勤務という。
※宿直勤務では仮眠可能な場合あり
なお、宿日直勤務は勤務態様から普通宿日直勤務、常直勤務、当直勤務の三種類に分けられます。
- 普通宿日直勤務
本来の勤務に従事しないで行う庁舎、設備、備品、書類等の保全、外部との連絡、文書の収受及び庁内の監視を目的とする勤務
- 常直勤務
普通宿日直勤務のうち、庁舎に附属する居住室において私生活を営みつつ常時行う勤務 - 当直勤務
本来業務に近いものの、普通宿日直勤務と同様、待機を中心とする勤務密度の薄い勤務
ちなみに、超過勤務手当・休日給・夜勤手当の支給対象外となる管理監督職員は宿日直手当の支給対象(指定職は対象外)となります。
宿日直手当の支給額
次に、宿日直手当の支給額ですが、勤務態様によって支給額がそれぞれ定められています。
普通宿日直勤務
普通宿日直勤務の宿日直手当ですが、一勤務につき4,400円の支給となります。
なお、支給額は勤務時間数や勤務態様によって50%~150%と増減することになります。
- 勤務時間が5時間未満の場合の支給額は50%。
- 執務時間が8時30分~12時30分までと定められている日等に退庁時から引き続いて行われる場合の支給額は150%。
常直勤務
常直勤務の宿日直手当ですが、従事した日数が月の2分の1を超える場合は月額22,000円、2分の1以下の場合は月額11,000円の支給となります。
当直勤務
当直勤務の宿日直手当ですが、当直勤務の内容によって一勤務につき5,500円~21,000円の支給となります。
- 皇宮警察本部又は宮内庁の本庁若しくは御料牧場の動物の飼育、植物の栽培等を行う施設における動物又は植物の管理等のための当直勤務
- 矯正施設における入所、釈放又は面会に関する事務処理、警備等のための当直勤務
- 保護観察所における保護観察に付され保護観察所に居住している者に対する保護観察のための調査における関係人に対する質問等のための当直勤務
- 東京保護観察所における保護観察に付され所在不明となっている者に関する身元の照会の処理等のための当直勤務
- 地方農政局、地方整備局又は北海道開発局のダム等の管理施設における機器等の監視、管理等のための当直勤務
- 次に掲げる業務に関する情報連絡等のための当直勤務
- 内閣官房における緊急業務
- 内閣府本府、金融庁、消防庁本庁、経済産業省本省、首都圏臨海防災センター、近畿圏臨海防災センター又は地方気象台における災害発生に係る緊急業務
- 外務省本省における対外関係に係る緊急業務
- 原子力規制庁における原子力施設の事故発生に係る緊急業務
- 警察庁本庁における被疑者等の身元、犯罪経歴等の照会の処理のための当直勤務
- 皇宮警察本部、地方検察庁又は公安調査庁における警備又は事件の捜査、調査、処理等のための当直勤務
- 国立児童自立支援施設又は障害者支援施設における入所者の生活介助等のための当直勤務
- 矯正施設における業務の管理若しくは監督又はこれらの補佐のための当直勤務
- 保護観察所における保護観察に付され保護観察所に居住している者に対する指導監督及び補導援護のための当直勤務
- 病院又は診療所である医療施設における次に掲げる当直勤務
- 看護業務の管理又は監督のための看護師長等の当直勤務
- 救急の外来患者及び入院患者に関する緊急の医療技術業務の処理等のための薬剤師、診療放射線技師(診療エックス線技師を含む。)又は臨床検査技師(衛生検査技師を含む。)の当直勤務
- 救急の外来患者及び入院患者に関する緊急の事務処理等のための当直勤務
- 海上保安大学校その他の教育又は研修の機関における学生等の生活指導等のための当直勤務
- 次に掲げる業務に関する情報連絡等のための当直勤務
- 警察庁の本庁又は地方機関における事件処理業務
- 海上保安部の分室又は海上保安署における警備救難業務
人事院が定める当直勤務の宿日直手当額は一勤務につき7,400円。
【例】地方検察庁の当直勤務
- 病院又は診療所である医療施設における入院患者の病状の急変等に対象するための医師又は歯科医師の当直勤務
なお、支給額は勤務時間数や勤務態様によって50%~150%と増減することになります。
- 勤務時間が5時間未満の場合の支給額は50%。
- 執務時間が8時30分~12時30分までと定められている日等に退庁時から引き続いて行われる場合の支給額は150%。
宿日直手当の関係法規
最後に、超過勤務手当の関係法規についてですが、根拠条文を確認されたい方は是非参考にしてください。
- 一般職の給与に関する法律
19条の2、19条の8、19条の9 - 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律
13条
- 人事院規則9ー15(宿日直手当)
- 人事院規則9-7(俸給等の支給)
11条、12条、13条 - 人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)
13条、14条、15条、15条の2
では、次に、宿日直手当と諸手当の関係について見ていきたいと思います。
宿日直手当と諸手当の関係について
宿日直手当と諸手当の関係についてですが、下記手当との関係について見ていきます。
夜勤手当との関係
夜勤手当と宿日直手当は深夜勤務という点で似ている手当になりますが、対象となる勤務が異なります。
夜勤手当は正規の勤務時間の通常勤務であるのに対し、宿日直手当は正規の勤務時間以外の当直等の勤務になります。
深夜に正規の勤務時間を割り振る勤務形態を交代制勤務等という。
→刑務官、航空管制官、税関職員など
そのため、夜勤手当と宿日直手当の両方の支給要件に該当することはありませんので、両手当が併給されることはありません。
超過勤務手当との関係
超過勤務手当と宿日直手当は正規の勤務時間以外の勤務という点で似ていますが、夜勤手当と同様、対象勤務が異なります。
超過勤務手当は正規の勤務時間を超える通常勤務であるのに対し、宿日直手当は正規の勤務時間以外の当直等の勤務になります。
そのため、超過勤務手当と宿日直手当の両方の支給要件に該当することはありませんので、両手当が併給されることはありません。
休日給との関係
宿日直勤務は休日に行う場合もありますので、宿日直手当と休日給の両方の支給要件を満たすようにも思われます。
しかし、夜勤手当・超過勤務手当と同様、休日給の対象勤務は通常勤務になります。
そのため、宿日直勤務を休日に行ったとしても宿日直手当のみの支給となります。
宿日直勤務に対して代休日の指定や週休日の振替はできない。
→夜間の宿日直勤務から日中の通常勤務と連続して働く場合あり
おわりに
今回は国家公務員の宿日直手当について紹介してきました。
給与制度は国家公務員として理解しておくべき制度になりますので、理解した上でライフプランニング等に活用してもらえたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。