給与制度

国家公務員の住居手当(家賃補助)について【元検察事務官が徹底解説】

こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

本記事では、国家公務員の諸手当の内住居手当(家賃補助)について詳しく紹介していきたいと思います。

住居手当は国家公務員にとって身近な手当となりますので、現役の国家公務員の皆さんはもちろん、これから国家公務員になられる方も是非参考にしてもらえればと思います

本記事の内容は令和5年4月時点のものとなります。

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住居手当の概要について

住居手当は「一般職の給与に関する法律(給与法)」や「人事院規則9―54(住居手当)」などによって定められています。

住居手当の支給対象者

  1. 自ら居住するための住宅を借り受け、月額1万6千円を超える家賃を支払っている職員
  2. 単身赴任手当を支給される職員で、配偶者等が居住するための住宅を借り受け、月額1万6千円を超える家賃を支払っている職員

では、それぞれの場合における住居手当の支給額注意点について見ていきたいと思います

自ら居住する場合

住居手当を受給する人のほとんどは「自ら居住するための住宅を借り受ける場合」になると思いますが、その場合の住居手当の支給額は以下の計算式で算定されます

住居手当(自ら居住)の支給額

  • 家賃月額27,000円以下の場合
    家賃月額-16,000円
  • 家賃月額27,000円を超える場合
    (家賃月額-27,000円)÷2+11,000円

    ※上限28,000円

住居手当の支給額の上限は28,000円となりますので、家賃月額が61,000円以上で住居手当の上限が支給されることになります。

このように、住居手当の算定には家賃月額が用いられますが、どこまでが家賃に含まれるのかが問題になります

給実甲第434号住居手当の運用によると、以下のものは家賃には含まないとされています

  • 権利金、敷金、礼金、保証金
  • 電気、ガス、水道等の料金
  • 共益費
  • 店舗付住宅の店舗部分に係る借料

一般的に家賃というと「賃料」+「共益費」をイメージする方も多いと思いますが、住居手当の算定基礎となる家賃には共益費は含まれませんので注意が必要となります

不動産管理会社によっては共益費を賃料に含めて契約してくれるので、共益費を含めることで住居手当額が上がるのであれば交渉する余地あり。

  • 賃料55,000円、共益費6,000円
    →住居手当25,000円
  • 賃料61,000円、共益費0円
    →住居手当28,000円

配偶者等が居住する場合

住居手当は「配偶者が居住するための住宅を借り受ける場合」も支給されますが、単身赴任手当の受給者である必要があります

単身赴任手当の受給要件

  • 異動に伴い配偶者と別居
  • 別居理由は介護などやむを得ない事情による。
  • 通勤距離が原則60㎞以上

国家公務員だと霞が関の本省勤務など長距離異動がありますので、単身赴任で配偶者が賃貸物件に住む場合は、配偶者の住む賃貸物件に対しても住居手当が支給されます

住居手当(配偶者が居住)の支給額

  • 家賃月額27,000円以下の場合
    (家賃月額-16,000円)÷2
  • 家賃月額27,000円を超える場合
    {(家賃月額-27,000円)÷2+11,000円}÷2

    ※上限14,000円

配偶者が居住する場合の住居手当の支給額は自ら居住する場合の住居手当の支給額の半分になりますので、住居手当の支給額の上限は14,000円となります

  • 住居手当額の上限は28,000円
    ※配偶者用は14,000円
  • 家賃61,000円以上で上限支給。
  • 家賃に共益費は含まれない

では、次に、住居手当の支給要件の確認について見ていきたいと思います

 

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住居手当の支給要件確認について

住居手当の支給要件については以下の場合に確認されますので、それぞれ見ていきたいと思います。

届出時の要件確認

住居手当を受給するためには「住居届」(※)と証明書類を提出する必要があります
※「給実甲第434号別紙第1」

要件確認における証明書類

  • 賃貸借契約書のコピー
  • 家賃の支払いが分かるもの
    →領収書・口座明細など
  • 住民票の写し

住居届と証明書類によって要件の確認が取れると、要件を満たした日の翌月から(※)住居手当の支給が開始されます
1日の場合は当該月から支給開始

なお、受給要件を満たした日から15日経過した後に届出をした場合は、届出日を基準として翌月から支給となりますので、注意が必要となります。

受給者に対する現況確認

住居手当の受給者に対しては、毎年1年に1回受給要件を欠いていないか現況確認が行われます

現況確認では、現況確認時点から2~3か月分の家賃の支払いを証明する必要がありますので、家賃引落口座の明細などを提出します

不正受給が発覚すると、不正受給額の還付はもちろん、懲戒処分となる。
→免職にならずとも自主退職せざるを得なくなる。

なお、引越しや賃料の変更などの事象が生じた場合速やかに住居届と証明資料を提出しなければなりませんので、届出を忘れないよう注意が必要です

  • 住居届証明資料の提出が必要。
    →賃貸借契約書・住民票の写し等
  • 住居手当の支給開始月は要件を満たした日の翌月から。
    ※1日の場合は当該月から
  • 1年に1回、受給者に対する現況確認あり。
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おわりに

今回は、国家公務員の諸手当の内住居手当について説明してきました。

国家公務員への就職を機に新たに賃貸借契約を結ぶ方も多いと思いますので、住宅手当がどれくらい支給されるかも踏まえた上で物件探しをしてもらえればと思います

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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