こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は、検察事務官の人事異動・出向の概要について詳しく紹介していきたいと思います。
キャリアを考える際に知っておきたい知識となりますので、現役の検察事務官や検察庁内定者はもちろん、検察事務官志望の方も是非参考にしてもらえればと思います。
人事異動の概要について
検察事務官の人事異動の概要については、下記項目をそれぞれ見ていきたいと思います。
異動方針・期間
検察事務官の異動方針ですが、若手職員の内はジョブローテーションで各部門を経験し、中堅職員以降は本人の希望と適性から専門性を身に着けていきます。
- 事務局部門
- 検務部門
- 捜査・公判部門
各部門を経験する中で自身のキャリアの希望や適性を知ることができ、また、検察庁の組織や業務内容を理解できるようになります。
異動期間については、基本的に2~3年間隔での異動となり、4月1日付で異動先の部署への配属辞令が出されます。
内示・意向打診
検察事務官の内示ですが、基本的に3月1日に異動対象職員に伝えられます。
伝達方法は所属部門の長から伝えられますので、内示日の午前中に電話かメールで呼出しがかかることになります。
内示日の午後には人事異動の内示資料がどこからか庁内に出回るので、全職員が庁内の人事異動の全容を知ることが可能となる。
また、内示の前の1月上旬に意向打診が行われますが、対象職員は引越しを伴う異動が生じる職員と出向する職員となります。
- 検察事務官の異動方針は、若手はジョブローテーションで各部門を経験させ、中堅以降は専門性を身に着けさせる。
- 異動は基本的に2~3年間隔。
- 内示日は基本的に3月1日、意向打診は1月上旬に行われる。
では次に、検察事務官の採用庁内の異動について見ていきたいと思います。
採用庁内の異動について
検察事務官の採用庁内の異動については、下記項目をそれぞれ見ていきたいと思います。
新規配属先
検察事務官の新規配属先についてですが、以下の部署のいずれかに配属されることが一般的となります。
- 事務局部門
- 検務部門
- 捜査・公判部門の事件管理
ジョブローテーションで各部門を順番に回ることになりますので、新規配属先がどこになろうが優劣はありません。
新規採用職員が立会事務官や小規模支部に配属されることはまずない。
なお、検察庁によっては大規模・中規模支部への新規配属はありますので、下記記事を参考にしてもらえればと思います。
支部勤務
検察事務官の支部勤務ですが、大規模・中規模支部には新規採用職員から勤務する可能性がありますが、小規模支部で勤務することはまずありません。
というのも、小規模支部では職員が数名しかおらず、経験の浅い若手職員では仕事が回せないというのが理由になります。
小規模支部の日直勤務では、検察官1名、検察事務官1名で回しているところもあるため、経験の浅い若手職員では対応不可能。
ちなみに、支部勤務のメリットとしては、本庁より担当事務が幅広く早期に業務理解が進むことが挙げられます。
そのため、検察事務官としてのキャリア形成において、若手の内に支部勤務を経験しておくことは悪くはありません。
立会事務官
検察官とペアになって捜査・公判に従事する立会事務官ですが、採用2年目から任命される場合が多いです。
立会事務官の仕事は検察庁内のほぼ全ての部署と関りがある仕事になりますので、検察庁の組織の理解のために早期に立会事務を経験させていると思います。
立会事務官は捜査・公判含めて通算10年間経験すると言われる。
なお、捜査部と公判部で分かれる部制庁では、まず捜査部の立会事務を経験してから公判部の立会事務を経験することになります。
検察官事務取扱検察事務官
検察官事務取扱検察事務官(通称「検取」)とは、軽犯罪法違反などの軽微な事件を一人で捜査・事件処理を行う職種になりますが、発令は30歳からとなります。
なお、検取になると副検事の選考の受験資格えお通常より早く得られるメリットがありますので、検取の枠は副検事志望者が大半を占めます。
3年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職にあった者
- 3級以上の検察事務官
- 2級の検察官事務取扱検察事務官
また、検取には俸給の調整額が付くので年収が上がりますが、詳しくは下記記事を参考にしてもらえればと思います。
- 新規配属は事務局・検務・捜査公判の事件管理が多い。
- 小規模支部に若手職員は配属されない。
- 立会事務官には採用2年目での任命が多い。
- 検取の枠は副検事志望者が大半を占める。
では次に、検察事務官の採用庁外への出向について見ていきたいと思います。
採用庁外への異動・出向について
検察事務官の採用庁外の異動・出向については、下記項目をそれぞれ見ていきたいと思います。
高検管内の検察庁
高検管内の検察庁への異動ですが、以下の2パターンがあります。
東京高等検察庁
高検への異動ですが、高検と同じ建物内に所在する地検所属の場合、ほぼ同組織扱いなので最短で採用2年目から異動の可能性があります。
他の地検からの場合は採用5年目くらいからが最短の異動かと思います。
高検管内の地方検察庁
採用庁以外の地検への異動ですが、通常は係長級以上の役職にならないと異動はありません。
たまに若手職員でも採用庁以外の地検に異動していますが、これは本人の希望で所属を変える「原庁替え」という制度になります。
原庁替えは、結婚などの家庭の事情による希望は比較的通りやすいが、地元に戻りたいなどの理由だけでは通りにくい。
なお、原庁替えは他高検管内の地検のも可能ですが、高検間同士(3高検間も)での職員のトレードになります。
そのため、大規模庁同士だと希望が通りやすいですが、小規模庁から小規模庁への原庁替えの希望は難しいです。
法務省・最高検察庁
法務省・最高検察庁ですが、早ければ採用3年目から出向・異動の可能性があります。
出向・異動期間は通常4年間と決まっていますので、若手職員の内に霞が関勤務を経験しておくのもいいかと思います。
若手職員で東京勤務を希望する人は少ないため、法務省・最高検察庁勤務を希望すればわりと出向・異動させてもらえる。
ちなみに、霞が関勤務は昇給しやすいなどのメリットがありますが、詳しくは下記記事を参考にしてもらえればと思います。
法務省内の他官庁
法務省内の他官庁ですが、法務省内組織間人事交流により出向する制度があります。
出向期間は2年間で、出向対象者は職務の級が2級の職員に限られています。
- 検察官署
検察庁など - 法務官署
法務局など - 矯正官署
刑務所・少年院など - 保護官署
保護観察所など - 出入国在留管理官署
出入国在留管理庁など
検察事務官は20代の若手職員が出向対象者に選ばれていますので、興味がある方は是非希望してもらえればと思います。
他省庁
他省庁への出向ですが、主に以下2種類の出向ルートとなります。
- 法務省からの出向
- 特別捜査部からの出向
法務省からの出向はキャリア官僚が多いですが、検察事務官の出向先も多岐に渡ります。
- 在ロサンゼルス総領事館
- 在ベトナム日本国大使館
特別捜査部からの出向については、国税局・証券取引等監視委員会・預金保険機構などに出向ルートがあります。
国税局の出向では税務大学校の研修に参加できるなど貴重な経験ができますので、興味がある方はまずは特別捜査部勤務を希望してもらえればと思います。
- 高検や高検管内の他地検への異動の他に、所属を変更する原庁替えという制度がある。
- 法務省・最高検への出向・異動期間は4年間。
- 法務省内組織間人事交流制度の出向対象者は2級職員に限られる。
- 他省庁には主に2つの出向ルート(法務省・特別捜査部)がある。
おわりに
今回は、検察事務官の人事異動・出向の概要について詳しく紹介してきました。
多様なキャリアが用意されている点が検察事務官の魅力の一つになりますので、志望先選びやキャリア形成の参考にしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。