こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は,タイトルにもあるように「検察庁がブラックなのか」について,仕事の内容から職場の人間関係などに触れながら徹底解説していきたいと思います。
また,私は元検察事務官でありながら元政令市役所職員でもありますので,ちなみに市役所ではどうなのかについても触れながら説明したいと思いますので,検察庁志望の方はもちろん,市役所志望の方も是非見ていただければと思います。
ちなみに,政令市役所では,3年間,本庁舎の福祉部局で勤務していましたので,市役所への意見は,それを前提にして見てもらえればと思います。
仕事は激務なのか
まず,検察事務官の仕事が激務かについて,残業と休日出勤の面から説明していきたいと思います。
残業について
検察事務官の残業ですが,部署により残業が多いところと少ないところがあります。
一般的に捜査・公判部に所属する立会事務官の残業が多くなりますが,立会事務官の中でも,配点されている事件の件数などによって残業時間は変わってきます。
立会事務官の残業についての詳細は下記の記事をご確認ください。
https://moto-kensatsujimukan.com/workstyle-tachiai-overtime
私は立会事務官を3年間経験しましたが,基本的には激務と感じることはありませんでした。
ただ,特別捜査部の応援勤務のときは,1か月間,毎日終電帰りで,土日も休日出勤でしたので,特別捜査部は激務でしたね。
※事件に着手しているとき限定
※特別捜査部の応援勤務については別の記事で紹介予定
また,事務局部門や令状担当なんかも残業は多めの部署になります。
- 市役所勤務でも,残業は部署によるというところは同じ。
- 政令市の本庁舎勤務は基本的に激務(特に福祉部局)。
- 立会事務官の残業は事件件数による(特別捜査部は激務)。
- 事務局部門や令状担当も残業は多い。
休日出勤について
休日出勤ですが,まず,全ての検察事務官が担当する日直勤務があります。
また,捜査部の立会事務官の場合は,休日しか対応できない参考人の取調べと,捜査1課本部係担当検事の立会事務官だけが担当する重大事件が発生した場合の現場検証の呼び出しがあります。
日直勤務
日直勤務の頻度ですが,検察庁の規模によりますが月に1回くらいの頻度で順番が回ってきます。
ただ,日直勤務は定型的な業務になりますし,いつ日直勤務があるかについても事前に当番表で割り振られるので,私用で勤務が無理な場合は他の人と交代することができるなど,慣れると負担に感じることはなくなります。
立会事務官の休日出勤
捜査部の立会事務官の休日出勤の多くは,休日しか検察庁に来れない参考人の取調べになります。
しかし,基本的には平日に来てもらうように調整しますので,頻度としてはあまり多くないです。
また,「休日夜間問わず現場検証に呼び出される」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが,そんなことはほぼありません。
あり得るのは捜査1課本係担当検事の立会事務官だけですが,各地方検察庁に1名か2名だけなので,大多数の検察事務官は関係のない話になります。
立会事務官の残業についての詳細は下記の記事をご確認ください。

というわけで,休日出勤する場合は突発的ではなく事前に分かりますし,勤務内容も通常勤務と変わらないので,私は激務と感じたことはありませんね。
- 市役所勤務だと,地震・台風・大雨などの災害時に突発的に呼び出され,避難所設営などの勤務を行わなければならない。
- 検察事務官の休日出勤は定型的な業務で,急な休日出勤はほとんどない。
※捜査1課本部係担当検事立会は可能性あり。
仕事内容は過激なのか
では次に,仕事内容が過激なのかどうかについて説明していきたいと思います。
凄惨な事件現場について
まず,事件現場についてですが,ほとんどの事件では現場には行きません。
警察が現場検証を行い,事件現場の状況は記録として書面で送られてきますので,基本的にはその記録を読むだけになります。
ですので,例えば殺人事件の現場に行くという機会は少ないですね。
もちろん検察官が行くと言えば立会事務官も当然一緒に行くので,私は何回か殺人現場に行ったことがあります。
人にもよるかと思いますが,私の場合は殺人現場に入るのもそれほど苦ではありませんでしたね。
- 市役所勤務でも,部署によって,ごみ屋敷等に入ることもある。
※ケースワーカーや市営住宅担当課など
- 凄惨な事件現場に行く可能性があるのは立会事務官だけで,頻度は年に数回。
司法解剖について
次に司法解剖ですが,これは間違いなく過激な仕事になりますね。
まず,司法解剖に行く可能性があるのは捜査部の立会事務官です。
司法解剖立会の頻度ですが,これも事件次第なので何とも言えませんが,私の場合は,立会1年目は0件,2年目は1件,3年目は3件でした。
司法解剖に行くかどうかは完全に運ですので,人によっては一度も経験したことがない先輩もいましたね。
ちなみに,司法解剖で立会事務官が何をするのかというと,基本的には立ってるだけです。
なので,どうしても気分が悪くなれば司法解剖室の外に出ることもできますね。
- 市役所勤務でも,部署によって,ご遺体に遭遇することがある。
※ケースワーカーや市営住宅担当課など
- 司法解剖に行く可能性があるのは立会事務官だけで,頻度は年に数回。
※運が良ければ一度も経験をしないこともある。
被疑者・被告人との関りについて
次に,被疑者や被告人との関りについてですが,人によってはストレスになるかと思います。
3年間,立会事務官をやる中で,数百人の被疑者・被告人の話を検事の横で聞いてきましたその中で,やはり胸糞が悪くなる話も聞かなければならないときもあります。
しかし,私の場合は,そのような事件程,検察事務官として頑張らなければならないとより一層やる気を奮い起こされたので,ストレスに感じるということはありませんでしたね。
また,検務部門の徴収担当だと罰金未納者との折衝がありますが,最終的に罰金を支払わない者は労役場に収容できるため,強い権限を持って対応することができます。
- クレーマー市民でも無下にできない分,対応に苦慮する場合が多い。
※税金泥棒などと言われることも多々あり。 - 市税や保険料等の滞納者に対してできることはせいぜい資産の差押えのみで,そもそも資産がなければ何もできない。
- 被疑者・被告人や罰金未納者に対しては,強い権限を持って対応することができる。
※逮捕や労役場への収容など
転居を伴う異動は多いのか
では次に,転居を伴う異動が多いのかどうかについて説明していきたいと思います。
異動にもパターンがあり,所属する地方検察庁検察庁の支部に異動する場合,所属する地方検察庁が属する高等検察庁や東京にある法務省本省などに異動する場合,他官庁に出向する場合があります。
上記の場合も必ず転居を伴う異動というわけではありませんが,所属庁と異動先によっては転居を伴う異動となる可能性があります。
家庭の事情であったり,どうしても転居を伴う異動をしたくない人は,毎年異動などの希望を申告する機会がありますので,そこで転居を伴う異動をしたくないと希望すれば,ある程度考慮してもらえるみたいです。
法務省本省などは希望していないのに異動になったという話はほとんど聞かないですしね。
ですので,転居を伴う異動の可能性はありますが,希望することによって可能性を減らすことができます。
- 市役所職員の場合は,転居を伴う異動はほぼない。
- 市役所の仕事は多岐に渡るため,2~3年毎の異動の度に,これまでやってきた仕事と全く関係ない仕事をすることになる。
- 転居を伴う異動はあるが,家庭状況や希望は割と考慮してもらえる。
人間関係について
最後に人間関係ですが,検察官との関係や,検察庁が体育会系かについて見ていきたいと思います。
検察官との関係について
検察官との関係ですが,検察官と一番絡みがあるのは捜査・公判部の立会事務官です。
ネット上で「検察事務官は検察官の奴隷」と書かれているのを見たことがありますが,これは真っ赤なウソになります。
まず,検察官に任官すると,立会事務官を,捜査・公判を共に行うパートナーとして尊重するよう指導されます。
ですので,奴隷のように扱われることはありませんし,年上の立会事務官に対し,年下の検事がため口で指示するなんてことはありません。
そんなことをしたら上の検察官からめちゃくちゃ指導されます。
ただ,私の経験上では,年配の副検事の中には横柄な態度をとる人も一定数いました。
しかし,相性が悪かったり,明らかにパワハラをされた場合は,検察官とのペアを交代するという措置が取られるので,万が一,ヤバい検察官の担当になっても上司に相談をしてもらえれば大丈夫です。
あと,基本的には検察官とのペアは1年間なので,ちょっと相性が合わないなって検察官でも,1年後にはバイバイすることができますね。
- 市役所職員だと,地方議員から過度な要求を受けることがある。
※市役所職員を手足のように考える地方議員は多い。
- 検察官はパートナーである立会事務官を尊重するように指導されている。
- 万が一ヤバい検察官の担当になってもペアを交代してもらえる。
雰囲気は体育会系か
検察庁は縦社会ですので,雰囲気は割と体育会系になります。
ただ,金融機関で務めたことがある私から見ると,公務員の中では体育会系というぐらいという風に感じました。
職員同士の雰囲気はとてもよく,年上や採用年次が上の人は積極的に色々と教えてくれたりと,非常に面倒見がいいです。
これは市役所と比べて職員数が少ないからこそ築ける雰囲気かと思います。
ですので,体育会系はちょっとと思っている公務員受験生の方も,検察庁の雰囲気はゆるい体育会系で先輩職員の面倒見がいいので,お勧めです。
また,採用数が少ないからこそ,採用段階でヤバい奴は落とされているので,検察庁職員に変な人は少なかったですね。
- 市役所職員の人数が多いため,市役所職員同士の人間関係が希薄であり,部署が違えば別会社のような対応をされる。
- 市役所職員の採用人数は多いため,一定数ヤバい奴が紛れ込んでいる。
- 雰囲気はゆるい体育会系で,検察庁職員同士の面倒見がいい。
- 採用人数が少ないから,ヤバい奴はあまり検察庁職員にいない。
おわりに
今回は,検察庁がブラックかどうかについて,私の検察事務官経験から色々と書かせてもらいました。
私自身は,自身の民間企業や政令市役所での勤務経験から比較すると,あまりブラックではないかなと思いますが,見る人によってはブラックと感じることもあると思います。
公務員受験生の方は,この記事で見た内容を参考の一つとし,志望先を決めてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。