こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
公務員受験生の中には,市役所と国家公務員のどちらがいいか迷っている方もいるかと思います。
そこで,今回は,元検察事務官が市役所職員を経験したから思う「死ぬほど面白くなかった市役所職員の仕事」について,検察事務官と比較しながら説明していきたいと思います。
ちなみに,あくまで私個人の意見になりますので,皆さんの志望先を決める参考として見ていただければと思います。
なお,検察庁と市役所をブラックかどうかで比較した記事は以下をご確認ください。

やりがいの無さについて
まず,市役所職員のやりがいですが,よく以下のようなことが挙げられているかと思います。
- 市民との距離が近い。
- 街づくりができる。
確かに,地域住民との距離は近いですし,街づくりといったスケールの大きいこともできそうですが,実際はどうなのかを紹介したいと思います。
「市民との距離が近い」とは
まず,やりがいとしての「市民との距離が近い」は,市民のために仕事ができ,市民から直接感謝されるということです。
実際,窓口には多くの市民が訪れますし,電話も多くの市民からかかってきます。
もちろん感謝されることもありますが,しかし,10人中1人は,ひどいところだと半分はクレーマー市民がやってきます。
私が最初に働いた部署も,半分はクレーマー市民から連絡が来るような部署でしたので,毎日毎日クレーム電話を処理するのが死ぬほど嫌でしたね。
ちなみに,クレーマー市民は市役所職員のことを以下のように考えています。
- 税金泥棒
- 碌な仕事をしていない
- 融通が利かない
どれだけの市民に感謝されようが,1割のクレーマー市民から心無い暴言を吐かれると,だんだん心が死んでいき,やりがいなんて一切感じなくなります。
ですので,私も,私の市役所時代の同僚のほぼ全ても「市民」のことは大嫌いでしたね。
「街づくりができる」とは
次に,「街づくりができる」についてですが,これはよく公務員受験生が面接などで言ってしまいがちなことになります。
そもそも,事務職だと都市整備系の部局に事務職の仕事が少ないため,面接や意向調査で街づくりがしたいと言おうものなら,高確率で市営住宅を管理する課に配属されてしまいます。
もちろん事務職でも幹部職員になれば街づくりに携わることもできるでしょうが,一体何十年後になるんだって話ですよね。
ですので,市役所職員のやりがいとして街づくりができるって思っている事務職の公務員受験生の方は,考えを改めた方がいいですね。
- 検察事務官だと窓口はなく,電話は一般人からかかってこないため,市民対応なし。
- 被疑者や罰金未納者から暴言を吐かれることもあるが,犯罪者の言葉は心に響かない。
- 検察事務官は,犯罪被害者や社会正義実現のために働くことができる。
仕事のつまらなさ
では次に,仕事のつまらなさについて見ていきたいと思います。
まず,どんな仕事をしているかですが,内容は所属する部署によって違いますが,やっていることは大体同じで,以下のような仕事をしています。
- 担当業務の推進
- 市民対応
- 議会・議員対応
- 照会回答業務
- 補助金業務
- 予算・決算業務
- 契約関係業務
これらの業務は,基本的にルーティーンワークであるため,刺激もない,つまらない仕事になりますが,特に嫌な仕事をピックアップして紹介したいと思います。
議会・議員対応
まず,議会対応ですが,地方議会の定例会は通常年4回開かれますが,市役所職員は,各党の議員から出される質問に対する答弁書の作成を行います。
また,議会中以外でも,議員から問い合わせや要望があったりしますので,議員対応をしなければなりません。
クレーマー市民の中には,懇意にしている議員に連絡し,議員を通して過剰な要求をしてくることもあります。
そのような場合,市役所の上の人間は議員対応をめちゃくちゃ気にするため,特例で処理するなんてこともしなければならないので,議員のことは大嫌いでしたね。
おそらく市役所で働いている職員で議員のことが好きな人は一人もいないと思います。
照会回答業務
次に,照会回答業務ですが,市役所に勤務していると,国・県庁・別の市役所・同じ市役所内の別の部署などから照会回答依頼が毎日のように届きます。
この照会回答業務で聞かれる内容としては以下のようなものになります。
- 国・県の事業に関する意見確認
- 別の市での取り組み内容確認
- 別の市での統計確認
このような照会は,毎年同じ内容でくるものから,突発的に来るものもありますが,市役所職員は回答を作成し,上司から決裁をもらい,照会元に回答しなければなりません。
中には,こんなこと聞いてどうするのっていう内容だったり,出すのがめちゃくちゃめんどくさい数値を聞いてきたりする内容だったりします。
まぁ,同じ市役所同士での助け合いは必要かもしれませんが,照会回答業務は本来やらなければならない仕事ではないにも関わらず,時間と手間を大幅に取られてしまう仕事になりますので,好まれない仕事になります。
- 検察庁での仕事は,刑事手続きに関することであるため,内容が刺激的である。
- 地方検察庁では議会対応はなく,政治家からの干渉もない。
- 検察庁では,本来業務以外のことをやることはない。
国や自然災害に振り回される
市役所職員は,国の政策や自然災害にめちゃくちゃ振り回されます。
では,それぞれ見ていきたいと思います。
国の政策
今,市役所職員が一番国の政策に振り回されているのは,新型コロナのワクチン接種になります。
基本的には,国が決めた政策を実際に実施するのは自治体になり,たいていの場合は自治体に丸投げとなります。
その結果,何か問題があれば文句を言われるのは市役所ですから,非常にストレスが溜まります。
自然災害
自然災害はどうしようもありませんが,市役所職員は地震・台風・大雨などの自然災害が発生した場合は,緊急配備で職場に出勤したり,避難所を開設しなければなりません。
困っている市民のために仕方がないことですが,例えば東日本大震災のような大震災が発生した場合,たとえ自身の家族の安否確認が終わってなくても,市民のために働かなければなりません。
いつどこで大震災が起こるか分からない中,市役所職員を志望する人は,有事の際は自身の家族よりも市民を優先しなければならない覚悟を持つ必要があります。
- 検察庁の仕事で,政府から突発的に降ってくる仕事はない。
- 検察事務官が自然災害で出勤しなければならない場合は,大震災で釈放手続きを取らざるを得ない場合に限られる。
出世の道が一つしかない
市役所職員の出世の流れは以下のとおりとなります。
- 主事→主任→主査→係長→主幹→課長→部長→次長→局長
自治体にもよりますが,政令市だと局長になることが市役所職員としての最上位の出世となります。
多くの市役所職員は,主幹か課長で役所人生を終えるため,部長以上に出世できるのはごくごく一握りしかいません。
ですので,社会的に成功したいとか思う人にとっては,市役所職員はなかなか厳しいものとなりますね。
- 検察事務官は,事務局長を目指す道の他に,副検事試験に合格して検察官を目指す道があり,弁護士資格を得ることもできる。
副検事の記事は以下をご確認ください。

おわりに
今回は,私が思う市役所職員の面白くない部分を書かせてもらいました。
私は検察事務官を経験した後に市役所職員を経験することでこのように思いましたが,初めから市役所職員になっていたら,それが普通だと思っていたと思います。
公務員受験生の方は,この記事で見た内容を参考の一つとし,納得のいく志望先を決めてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。