こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
今回は,検察事務官の年収例について,俸給3級のときにどれくらい貰えるか,地域手当の支給割合別に紹介していきます。
年収がどれくらい貰えるのかは,志望先を決めるうえで重要な要素かと思いますが,インターネット上にはまともに算定されているものがありませんでしたので,より実態に則した年収例を算定してみました。
3級になると,出世する人と出世しない人との違いが大きく出てくる頃になるので,検察事務官志望の方や内定者の方は,是非参考にしてもらえればと思います。
なお,俸給1級・2級の年収例については,下記記事で確認いただけます。


- 本記事で説明する内容は令和3年4月時点のものとなります。
年収例の算定条件
まず,年収例を算定する上での条件についてですが,3級から4級に昇格できる人とできない人がいますので,以下のように2パターンの算定条件を設定します。
- 3級への昇格時期
→大卒:10年目,高卒:15年目 - 4級への昇格時期
→大卒:20年目,高卒:25年目 - 昇給幅
→毎年5号(平均) - 算定手当
→地域手当,期末・勤勉手当のみ - 期末・勤勉手当の支給月数
→4.45か月 - 勤勉手当の成績率
→良好(標準)
- 3級への昇格時期
→大卒:10年目,高卒:15年目 - 昇給幅
→毎年4号 - 算定手当
→地域手当,期末・勤勉手当のみ - 期末・勤勉手当の支給月数
→4.45か月 - 勤勉手当の成績率
→良好(標準)
昇格時期
4級へ昇格する時期は40代中頃が多いですが,5級・6級へと昇格していく場合を考えて,40代前半である大卒20年目・高卒25年目に昇格する場合で算定しています。
昇給幅については,優秀な人であれば6号・8号昇給もしていきますので,平均として5号ずつ昇給するとして算定します。
昇給幅と勤勉手当の成績率
俸給3級となると,優秀な人だと6号や8号昇給もしていきますので,4級に昇格できる場合の算定においては平均で5号昇給するとして算定します。
定年まで3級の場合は,残念ながら評価が低い人になりますので,通常どおり4級づつの昇給で算定します。
勤勉手当の成績率については,4級に昇給する人は優秀以上の評価も取ると思いますが,算定が複雑になりますので,通常評価である良好で算定します。
各種手当
年収例の算定には,地域手当と期末・勤勉手当しか加味していませんので,住居手当・超過勤務手当・扶養手当などは各自で加味して算定してもらえればと思います。
各種手当の算定方法については,俸給2級の年収例中の「各種手当」で説明していますので,参考にしてもらえればと思います。
年収例【4級に昇格する場合】
では,まず,算定条件①である4級に昇格する場合の年収例について,3級昇格1年目・5年目・10年目の3つの年収例について見ていきたいと思います。
3級1年目の年収例
- 公(二)3級12号俸:
278,300円(4月~12月) - 公(二)3級17号俸:
285,000円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 5,571,026円 | ~12月:2,486円 ~ 3月:2,546円 |
16% | 5,385,324円 | ~12月:2,403円 ~ 3月:2,461円 |
15% | 5,338,901円 | ~12月:2,382円 ~ 3月:2,440円 |
12% | 5,199,626円 | ~12月:2,320円 ~ 3月:2,376円 |
10% | 5,106,774円 | ~12月:2,279円 ~ 3月:2,334円 |
6% | 4,921,074円 | ~12月:2,196円 ~ 3月:2,249円 |
3% | 4,781,797円 | ~12月:2,134円 ~ 3月:2,185円 |
0% | 4,642,522円 | ~12月:2,072円 ~ 3月:2,122円 |
3級5年目の年収例
- 公(二)3級32号俸:
311,200円(4月~12月) - 公(二)3級37号俸:
320,300円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 6,235,410円 | ~12月:2,780円 ~ 3月:2,861円 |
16% | 6,027,564円 | ~12月:2,687円 ~ 3月:2,766円 |
15% | 5,975,601円 | ~12月:2,664円 ~ 3月:2,742円 |
12% | 5,819,716円 | ~12月:2,595円 ~ 3月:2,670円 |
10% | 5,715,792円 | ~12月:2,548円 ~ 3月:2,623円 |
6% | 5,507,946円 | ~12月:2,456円 ~ 3月:2,527円 |
3% | 5,352,059円 | ~12月:2,386円 ~ 3月:2,456円 |
0% | 5,196,176円 | ~12月:2,317円 ~ 3月:2,384円 |
3級10年目の年収例
- 公(二)3級57号俸:
351,000円(4月~12月) - 公(二)3級62号俸:
357,000円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 7,017,520円 | ~12月:3,135円 ~ 3月:3,189円 |
16% | 6,783,602円 | ~12月:3,031円 ~ 3月:3,083円 |
15% | 6,725,122円 | ~12月:3,005円 ~ 3月:3,056円 |
12% | 6,549,684円 | ~12月:2,926円 ~ 3月:2,976円 |
10% | 6,432,726円 | ~12月:2,874円 ~ 3月:2,923円 |
6% | 6,198,808円 | ~12月:2,770円 ~ 3月:2,817円 |
3% | 6,023,370円 | ~12月:2,691円 ~ 3月:2,737円 |
0% | 5,847,934円 | ~12月:2,613円 ~ 3月:2,658円 |
年収例【定年まで3級の場合】
次に,算定条件②である定年まで3級の場合の年収例について,3級昇格1年目・10年目・20年目・30年目・定年時の5つの年収例について見ていきたいと思います。
3級1年目の年収例
- 公(二)3級12号俸:
278,300円(4月~12月) - 公(二)3級16号俸:
283,700円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 5,566,346円 | ~12月:2,486円 ~ 3月:2,534円 |
16% | 5,380,800円 | ~12月:2,403円 ~ 3月:2,450円 |
15% | 5,334,416円 | ~12月:2,382円 ~ 3月:2,429円 |
12% | 5,195,258円 | ~12月:2,320円 ~ 3月:2,365円 |
10% | 5,102,484円 | ~12月:2,279円 ~ 3月:2,323円 |
6% | 4,916,940円 | ~12月:2,196円 ~ 3月:2,239円 |
3% | 4,777,780円 | ~12月:2,134円 ~ 3月:2,175円 |
0% | 4,638,622円 | ~12月:2,072円 ~ 3月:2,112円 |
3級10年目の年収例
- 公(二)3級52号俸:
343,400円(4月~12月) - 公(二)3級56号俸:
349,500円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 6,866,402円 | ~12月:3,068円 ~ 3月:3,122円 |
16% | 6,637,522円 | ~12月:2,965円 ~ 3月:3,018円 |
15% | 6,580,301円 | ~12月:2,940円 ~ 3月:2,992円 |
12% | 6,408,640円 | ~12月:2,863円 ~ 3月:2,914円 |
10% | 6,294,200円 | ~12月:2,812円 ~ 3月:2,862円 |
6% | 6,065,320円 | ~12月:2,710円 ~ 3月:2,758円 |
3% | 5,893,661円 | ~12月:2,633円 ~ 3月:2,680円 |
0% | 5,722,000円 | ~12月:2,556円 ~ 3月:2,602円 |
3級20年目の年収例
- 公(二)3級92号俸:
374,300円(4月~12月) - 公(二)3級96号俸:
375,700円(1月~3月)
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 7,465,360円 | ~12月:3,344円 ~ 3月:3,356円 |
16% | 7,216,516円 | ~12月:3,232円 ~ 3月:3,244円 |
15% | 7,154,304円 | ~12月:3,204円 ~ 3月:3,216円 |
12% | 6,967,670円 | ~12月:3,121円 ~ 3月:3,132円 |
10% | 6,843,248円 | ~12月:3,065円 ~ 3月:3,076円 |
6% | 6,594,402円 | ~12月:2,954円 ~ 3月:2,965円 |
3% | 6,407,768円 | ~12月:2,870円 ~ 3月:2,881円 |
0% | 6,221,134円 | ~12月:2,786円 ~ 3月:2,797円 |
定年時の年収例
- 公(二)3級101号俸:
377,400円
地域 手当 |
年収 | (参考) 超勤単価 |
20% | 7,522,110円 | 3,371円 |
16% | 7,271,372円 | 3,259円 |
15% | 7,208,686円 | 3,231円 |
12% | 7,020,634円 | 3,147円 |
10% | 6,895,266円 | 3,090円 |
6% | 6,644,528円 | 2,978円 |
3% | 6,456,476円 | 2,894円 |
0% | 6,268,424円 | 2,809円 |
3級のままで定年を迎えた場合,毎年4号ずつ昇給すると3級の最高位の号俸になります。
そうなると,地域手当含むすべての手当(期末・勤勉手当除く)がない場合でも,最低でも年収は600万円以上になります。
3級のまま定年を迎える人は全体の10%程度でしょうが,どんなに仕事ができない人でもこれくらいの年収は貰えるんだと参考にしてもらえればと思います。
【参考】3級の役職について
3級の役職については,2級からなれる役職である主任・主任捜査官・検務管理官に加え,新たに係長があります。
なお,役職の詳細については,下記記事で確認いただけます。

係長
事務局部門には係長というポストがありますが,俸給3級・4級の職員が就くことになります。
ただ,係長になったからといって何か手当が付くというわけではありませんが,事務局部門の係長ポストは優秀な人が就くイメージなので,人事評価は良くなるかと思います。
また,私の経験上,検察事務官として出世していく人の多くは,事務局畑出身の人が多い印象です。
主任・主任捜査官・検務専門官
主任・主任捜査官・検務専門官については,俸給2級の年収例中の「【参考】2級の役職について」で説明していますので,参考にしてもらえればと思います。
検察官事務取扱検察事務官
3級で検取になると,検取手当と言われる俸給の調整額は,月額10,200円なので年額122,400円,年収が増えることになります。
俸給の調整額についての詳細は,下記記事で確認いただけます。

おわりに
今回は,検察事務官の年収(俸給3級)について説明してきました。
年収は進路を選ぶうえで重要な要素の一つになりますので,是非参考にしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。