こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
立会事務官とは,検察官とペアになって事件捜査に当たる職種で,通常は,採用2年目以降から従事する職種となっています。
しかし,研修等で立会事務官に空きが出た場合,新規採用職員が応援で勤務する可能性がありますので,今回は,立会応援について紹介していきたいと思います。
来年度から検察事務官になる方は,この記事を読んで採用1年目の検察事務官生活をイメージしてもらえればと思います。
立会応援の概要について
まず,立会応援の概要について,立会応援が誰の代わりなのか・期間がどのくらいなのかについて見ていきたいと思います。
誰の代わりの応援か
新規採用職員が立会応援に入る可能性が高いのは,中等科・専修科研修に参加する立会事務官のポジションになります。
- 中等科研修受講対象者
→大卒程度3年目・高卒程度5年目 - 専修科研修受講対象者
→大卒程度7年目・高卒程度9年目
地検にもよりますが,大体,最初に立会事務官になるのが採用2年目から4年目になるので,新規採用職員が立会応援に入る可能性が高いのは中等科研修で抜ける立会事務官のポジションになります。
検察事務官の研修制度については,下記記事でご確認いただけます。

なお,立会応援は副検事を担当することが一般的ですので,研修に抜ける立会事務官が検事を担当している場合は,検事は元々副検事を担当していた立会事務官が担当し,空いた副検事の担当に立会応援で入るという形になります。
- 検 事:司法試験に合格して任官した検察官
- 副検事:検察事務官等が内部試験に合格して任官した検察官
副検事は元々検察事務官で,当然立会事務官も経験してきた人がほとんどなので,検事を担当するよりかは安心ですね。
副検事については,下記記事でご確認いただけます。

ちなみに,研修で抜ける立会事務官の中には支部勤務の人がいる場合もありますので,支部に立会応援に行く新規採用職員もいますね。
立会応援の期間
次に,立会応援の期間ですが,立会応援に入るポジションの立会事務官の研修期間中となりますので,約40日前後となります。
なお,高検や年度によって何月に研修が実施されるかは異なりますが,年度末だと立会事務官の繁忙期に当たりますので,立会応援に入る時期によって忙しさが全く異なってきます。
ちなみに,私が立会応援に入った期間は10月下旬から12月中旬までの繁忙期でしたので,めちゃくちゃ忙しかったですね。
- 立会応援は中等科・専修科研修で抜ける立会事務官の代わり。
- 支部に応援に行くこともある。
- 応援期間は約40日間だが,立会事務官の繁忙期に当たる可能性あり。
では,次に,立会応援に入るにあたり,引継ぎや研修について見ていきたいと思います。
立会応援前の引継ぎについて
新規採用職員は,基本的に事務局部門・検務部門・捜査部門の事件管理のいずれかに配属となりますので,立会事務官がどのような仕事をしているか全く分からないと思います。
そのため,立会応援に入る新規採用職員には,引継ぎの際に立会事務官の仕事をある程度覚えてもらう必要があります。
引継ぎ方法は地検によって異なりますが,私が所属していた地検では,立会応援に入る直前の1週間,実際に立会応援で担当する副検事の立会事務官と行動を共にし,引継ぎを受けるというものでした。
具体的には,先輩立会事務官に手取り足取り,取調べの調書の作り方から事件処理の方法まで教えてもらうという感じでした。
立会事務官の仕事内容については,下記記事でご確認いただけます。



ちなみに,地検によっては,新規採用職員全員を対象に立会事務官の仕事を経験させる研修を行っているところもあるみたいですので,入庁時に先輩に聞いてみてもいいかもしれないですね。
- 立会応援前に先輩立会事務官から引継ぎがある。
- 地検によっては新規採用職員全員を対象とした立会研修がある。
では,最後に,立会応援の注意点を見ていきたいと思います。
立会応援中の注意点
新規採用職員で立会事務官が務まるかどうか不安に思う方も多いと思いますので,実際に立会応援を経験して感じた注意点を紹介したいと思います。
注意する点は以下の二点になります。
- 取調べのやり方だけは完璧にしておく
- 分からないことはすぐに誰かに聞く
この二点さえ気を付けておけば立会応援は乗り切ることができますので,それぞれについて説明していきたいと思います。
取調べのやり方だけは完璧にしておく
事件処理の方法などが分からないときは,誰かに聞きながら処理することができますが,取調べ時の仕事については,取調べ中に誰かに気軽に助けを求めることができません。
そのため,引継ぎや研修のときに,取調べのやり方だけは完璧にしておく必要があります。
調書の文章入力には独特なルールがあったり,ワープロソフトが「一太郎」という普段使わないソフトであるため使い慣れるのに大変ですが,覚えないとめちゃくちゃ苦労します。
ですので,引継ぎのときは,可能な限り調書作成をやらせてもらった方がいいですね。
横に先輩立会事務官がいますので,安心して練習してもらえればと思います。
- タイピングが遅いと,取調べ時間が延び,その後の取調べ予定がずれ込んでしまうので,入庁までにブラインドタッチはマスターしておいた方がいいです。
- タイピングが遅いとイライラする検察官もいます。
分からないことはすぐに誰かに聞く
立会事務官の仕事は多岐に渡るため,引継ぎや研修で全てを覚えるなんてことはできません。
実際に経験して覚えていく仕事になりますので,分からないことがあったらすぐに誰かに聞くようにしましょう。
ちなみに,立会応援に入っている新規採用職員であることは当然知られてて,優しく教えてもらえますので,安心してもらって大丈夫です。
- 立会応援の引継ぎ時に,取調べのやり方だけは完璧にしておく。
- ブラインドタッチは立会応援までにマスターしておいた方がいい。
- 立会応援の新規採用職員に対してはみんな優しい。
おわりに
今回は,新規採用職員が経験する可能性のある立会応援について紹介してきました。
立会事務官を経験すると検察庁の仕事の全容を理解することができますので,これから検察事務官になる方は立会応援を楽しみにしてもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。