検察事務官の働き方

検察事務官の宿直勤務(夜間勤務)について【元検察事務官が徹底解説】

こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

検察庁では,365日・24時間,刑事事件に対応していますが,今回は,検察事務官の仕事の内,宿直勤務について紹介していきたいと思います。

実際にどのような仕事をしているかなどを見ていきますので,来年度から検察事務官になる方は,この記事を読んで仕事内容をイメージしてもらえればと思います。

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宿直勤務の概要について

宿直勤務の概要についてですが,実施検察庁・開始時期・頻度・勤務時間・従事人数について見ていきたいと思います。

実施検察庁

まず,宿直勤務の実施検察庁ですが,全ての検察庁で行われているわけではなく,規模の大きい検察庁でしか行なわれていません

また,検察庁には本庁と支部がありますが,宿直勤務があるのは本庁のみとなりますので,支部勤務者が宿直をすることはありません

ちなみに,宿直勤務はどんどん廃止されていっている状況ですので,最終的には全ての検察庁で宿直勤務がなくなるかもしれないですね。

開始時期

次に,宿直勤務の開始時期ですが,新規採用職員がいきなり従事することはなく,採用後半年間経過後から従事することになります。

ちなみに,宿直勤務は男性のみが従事しますので,女性には宿直勤務がありません

そのため,宿直勤務が実施されている検察庁の日直勤務は,女性の方が従事する頻度が多くなりますね。

頻度

次に,宿直勤務の頻度ですが,所属している検察事務官の人数によって異なるため,検察庁によってバラバラとなります。

宿直勤務の有る無しによっても変わってきますが,大体1か月から2か月に1回の頻度で回ってくると思ってもらえればと思います。

なお,宿直勤務にいつ当たっているかは,遅くとも2か月前には当番表が掲示されますので,もし都合が悪い日に当たっている場合は自由に交代することができます

ちなみに,私は宿直勤務のある検察庁所属でしたが,1年間の内,宿直勤務5回・日直勤務1回の頻度で,大体2か月に1回どちらかの当番が回ってきていましたね。

勤務時間

次に,宿直勤務の勤務時間ですが,平日・休日問わず17時15分から翌日の8時30分までとなっています。

なお,勤務時間中ずっと起きていないといけないというわけではなく,仕事が発生しなければ23時30分頃から翌日の7時頃までは就寝できます

ちなみに,宿直勤務のある検察庁には浴室がありますので,お風呂に入ることもできますね。

従事人数

最後に,宿直勤務に従事する人数ですが,検察庁によって異なりますが,大体2人か3人の検察事務官が従事することになります。

なお,担当検察官は自宅で電話対応をするため,検察庁に寝泊まりすることはありません

  • 宿直勤務は規模の大きい検察庁のみ
  • 宿直勤務は採用半年後からスタート。
  • 宿直勤務は男性のみ従事。
  • 宿直勤務は17時15分から翌日8時30分まで。
  • 宿直勤務は大体1か月から2か月に1回の頻度。

では,次に,宿直勤務の仕事内容について見ていきたいと思います。

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宿直勤務の仕事内容について

宿直勤務の仕事内容は,以下となっています。

  • 警察からの変死体発見報告対応
  • 関係機関からの電話の取次ぎ【平日のみ】
  • 日直勤務の引継ぎ【休日のみ】

では,それぞれの勤務内容について見ていきたいと思います。

変死体発見報告対応

宿直勤務の仕事内容の内,メインとなるのは警察からの変死体発見報告対応となります

  • 犯罪死体:死亡が犯罪によることが明らかな死体
  • 変死体 :変死者又は変死の疑いのある死体

警察が変死体を発見した場合のフローは以下となっています。

  1. 【第一報】変死体発見時
    →警察から全件FAXで連絡
  2. 【第二報】犯罪の疑いがある場合
    →警察から電話で状況説明
    →宿直担当者から担当検察官に連絡
    →宿直担当者から担当検察官の指揮内容を警察に連絡
  3. 【第三報】司法解剖の連絡(日時・場所等)

まず,変死体発見時は,全ての変死体の発見状況等がFAXで検察庁に送信されてきますが,このことを「第一報」と言います。

次に,第一報の内,犯罪の疑いがある場合は,警察から電話がかかってき,より細かい情報が宿直担当者に伝えられることになりますが,このことを「第二報」と言います。

この第二報は時間帯を問わず電話で連絡がくるため,深夜で就寝中の場合でも,起きて電話対応をしなければなりません

具体的な電話対応としては,警察から変死体の発見状況(日時・場所など)・被害者の人定・発見者の人定などを聴き取り,担当検察官に聴き取り内容を伝え検視を行うかの判断を仰ぎ,結果を警察に伝えることとなります

  • 刑事訴訟法第二二九条【検視】
    変死者又は変死の疑のある死体があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視をしなければならない
    検察官は,検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる

警察に連絡した後は,警察から聴き取った内容と担当検察官の指揮内容を報告書にまとめ,変死体発見報告の第二報の仕事は終了となります。

ちなみに,検視後は司法解剖が行われることになりますが,司法解剖の日程や場所の調整は日中に行われるため,宿直中に司法解剖の連絡「第三報」が来ることはありませんね。

司法解剖の詳細については下記記事でご確認いただけます。

立会事務官の仕事内容(司法解剖立ち会い)について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 今回は、立会事務官の仕事内容の内、司法解剖...

関係機関の電話取次ぎ【平日のみ】

平日限定ですが,裁判所や警察などの電話取次ぎも宿直担当の仕事となります

これは,17時15分を過ぎると検察庁の代表電話がつながらなくなり,宿直専用電話しか通じなくなるからです。

電話の内容は,基本的に「○○部の○○検察官をお願いします」という内容になりますので,配置表で内線番号を調べ,電話を転送するだけとなります。

ちなみに,警察には取調室の直通番号を教えている場合が多いので,メインは裁判所からの電話になりますね。

日直勤務の引継ぎ【休日のみ】

休日の日中は日直担当者が勤務していますが,日直の勤務時間は17時15分までであるため,宿直担当者が日直勤務を引き継ぐことがあります

引継ぐ仕事の内容としては,勾留請求済みでまだ勾留状が未発付の事件の勾留請求手続きを引き継ぎます

無事に勾留請求が認容されれば,発付された勾留状の点検と日直担当検察官から指揮印を押印してもらって仕事は終わりとなります
※日直勤務の詳細については別の記事で紹介予定。

では,最後に,宿直勤務した際に支給される宿日直手当について見ていきたいと思います。

宿日直手当について

宿日直手当については,給与法と人事院規則で各勤務毎に支給手当額が定められていますが,地方検察庁における当直勤務の場合は7,400円となります。

なお,宿日直手当の支給は,翌月の給料日に基本給等と合わせて支給されることになります。

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おわりに

今回は,採用半年後から従事することになる宿直勤務について紹介してきました。

宿直勤務については,実際にどういった仕事をしているのか分からず不安に思っている人もいたかと思いますので,少しでも不安を取り除けたら幸いです

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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