副検事・特任検事

国家一般職から法曹に!?副検事の概要となり方について【元検察事務官が徹底解説】

こんにちは。
元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。

本記事では、副検事の概要なり方について詳しく紹介していきたいと思います。

副検事に任官できるというのが検察事務官の魅力の一つになりますので、検察事務官志望の方はもちろん、他省庁志望の方も是非参考にしてもらえればと思います

本記事の内容は令和6年1月時点のものとなります。

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副検事の概要について

まず、副検事についてですが、検察庁法」で検察官の一種と定められています

検察官の種類

検事総長・次長検事・検事長・検事
司法試験に合格して任官

副検事
法務省の内部試験に合格して任官

つまり、副検事とは、司法試験に合格せずに法務省の内部試験に合格して任官した検察官ということになります

では、副検事へのなり方を説明する前に、副検事の概要について以下の項目を見ていきたいと思います

身分保障・給料

副検事は検察官になりますので、原則として、その意思に反してその官を失い職務を停止され、又は俸給を減額されることがない裁判官に準じた高い身分保障を受けます

なお、副検事の給料は「一般職の職員の給与に関する法律」による俸給表ではなく「検察官の俸給等に関する法律」による検察官俸給表(副検事)が適用されるようになります。

号俸 俸給月額
副検事特号 634,000円
副検事1号 574,000円
副検事2号 516,000円
副検事3号 438,900円
副検事4号 421,500円
副検事5号 387,800円
副検事6号 364,900円
副検事7号 341,600円
副検事8号 319,800円
副検事9号~17号 省略

副検事の初任給は、原則として任命前の給与月額の直近上位の号に格付けされますので、大体5号6号からスタートすることになります。

そして、2年半ごとに昇給していきますので、任官10年~13年で1号まで昇給し年収1千万円超えとなります

副検事の昇給例

38歳、副検事5号任官の場合

40歳、4号に昇給
43歳、3号に昇給
45歳、2号に昇給
48歳、1号に昇給

副検事の給料の詳細については下記記事で紹介していますので、合わせて見てもらえればと思います

年収1千万円超!?副検事の給料(俸給・諸手当)について【元検察事務官が徹底解説】こんにちは。 元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。 本記事では、副検事の給料(俸給・諸手当)に...

主な職務・任地

副検事の主な職務ですが、副検事は区検察庁に配属されるため簡易裁判所管轄の事件の捜査・公判に従事しますが、地方検察庁検察官事務取扱として地方裁判所管轄事件の捜査・公判にも従事します

基本的には軽微な事件を担当することになりますが、優秀な副検事は裁判員裁判などの重要事件も担当することがあります

簡易裁判所管轄の事件

  • 罰金以下の刑に当たる罪
  • 窃盗や横領など比較的軽微な罪

副検事の転勤範囲ですが、基本的には原庁(任官前の採用庁)所在の高検管内が転勤範囲となります

なお、初任地は希望庁を3つ申告した上で決定しますが、家庭の事情が無い限り高検管外の区検への配属が一般的です

ちなみに、初任地が高検管内になった場合でも、少なくとも一度は必ず高検管外の区検に配属されることになります

基本は原庁所在の高検管内に戻るが、結婚等の事情で高検管外に留まりたい場合、家を購入すれば原庁を変更することも可能

キャリア・定年

副検事のキャリアですが、検事のように検事正や次席検事にはなれませんので、定年まで事件捜査・公判に従事する副検事がほとんどになります

副検事としての出世の最高ポストは、最高検察庁の総務部事務取扱、大規模庁の区検〇〇部長や総括・上席副検事といった決裁官ポストになります

ちなみに、副検事からは特任検事簡易裁判所判事になることができ特任検事からは弁護士になることもできますので、副検事のキャリアは幅広いです

  • 副検事3年以上在職
    →検察官特別考試に合格すると特任検事に任官。
    →簡易裁判所判事の選考に合格すると簡易裁判所判事に任官。
  • 特任検事5年以上在職
    →弁護士資格認定制度により弁護士資格付与。

また、副検事の定年ですが、国家公務員の定年延長に伴い検察官の定年も63歳から65歳となりました

ただ、一般の国家公務員は60歳以降の給与が7割になるのに対し、副検事を含む検察官は63歳以降から給与が7割となります

国家公務員の定年延長

  • 一般の国家公務員の定年延長
    60歳→65歳
    給与7割は60歳以降
  • 検察官副検事含む)の定年延長
    63歳→65歳
    給与7割は63歳以降

そのため、一般の国家公務員より3年多く正規の給料をもらうことができますので、副検事になることで生涯年収を大幅に増やすことができます

  • 副検事になると必ず年収1千万円を超える。
  • 副検事の転勤範囲は、基本は原庁所在の高検管内
    →一度は必ず高検管外に配属。
  • 副検事の定年は65歳で、給与7割は63歳以降
    →一般の国家公務員は60歳以降。

では、次に、どうやったら副検事になれるのか、副検事のなり方について見ていきたいと思います

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副検事のなり方について

副検事にのなり方ですが、検察官・公証人特別任用等審査会が実施する「副検事の選考」に合格すると副検事に任官することができます

では、副検事の選考の中身について、下記項目をそれぞれ見ていきたいと思います。

試験概要

副検事の選考の試験概要ですが、毎年1回、以下のスケジュールで実施されます

 7月上旬:第1次試験筆記試験
      試験会場は全国8高検
 9月上旬:
第1次試験の合否決定
10月上旬:第2次試験口述試験
      試験会場は法務省
10月下旬:第2次試験の合否決定

第1次試験は論述式の筆記試験、第2次試験は口頭試問式の口述試験ですが、試験科目はいずれも同じ科目となります

副検事の選考の試験科目

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 刑事訴訟法
  • 検察庁法

筆記試験の難易度司法試験や予備試験と比べるとレベルは数段落ちますが、検察官になるための試験なので刑法と刑事訴訟法の難易度は高いです

口述試験は、事前に紙で問題文を読んで事案を考察した後、試験官から尋ねられたことを口頭で答える口頭試問式の試験になります

質問に上手く答えられなくても試験官が助け舟を出してくれますので、下手に自分の意見に固持せず上手く試験官の誘導に乗っていけば、そうそう落ちる試験ではないようです

ちなみに、筆記試験も口述試験も司法試験用の六法全書が貸与されますので、条文を確認しながら試験を受けることができます

受験資格

副検事の選考の受験資格については、「検察庁法18条2項」と「検察庁法施行令2条」で以下のように規定されています。

  • 司法修習生となる資格を得た者
  • 3年以上政令で定める二級官吏その他の公務員の職に在った者

受験資格の「司法修習生となる資格を得た者」とは司法試験に合格した者をいい政令で定める公務員」とは具体的には以下の官職になります

政令で定める公務員

  • 公安職(二)3級以上の検察事務官
  • 公安職(二)2級の検察官事務取扱検察事務官
  • 行政職(一)3級以上、公安職(一)4級以上、公安職(二)3級以上の法務事務官又は法務教官
  • 地方更生保護委員会の委員
  • 行政職(一)3級以上の入国審査官
  • 公安職(一)4級以上の入国警備官
  • 裁判所調査官
  • 行政職(一)3級以上の裁判所事務官裁判所書記官家庭裁判所調査官司法研修所教官裁判所職員総合研修所教官
  • 警部以上の警察官
  • 行政職(一)3級以上、公安職(一)4級以上、公安職(一)3級以上又はこれらに準ずる職務の級の司法警察員(皇宮護衛官労働基準監督官船員労務官海上保安官麻薬取締官漁業監督官等)
  • 警務官たる三尉以上の自衛官
  • 行政職(一)3級以上の公正取引委員会の審査専門官
  • 税務職3級以上の国税査察官
  • 行政職(一)3級以上の証券取引特別調査官及び統括特別調査官
  • 行政職(一)3級以上の税関の審査官及び犯則調査官

意外と多くの国家公務員が受験資格を得ることができますが、整理すると法務省に関係する機関事件捜査に関わる機関の職員が受験資格を得られるということが分かります。

  • 法務省内の出先機関・外局
  • 裁判所
  • 司法警察員特別司法警察員
  • 検察庁に告発等を行う機関

受験資格を得られる年齢ですが、検察事務官の場合は3級に昇格するのが30代前半になりますので、30代半ばで受験資格を得ることができます

なお、検察官事務取扱検察事務官(検取)の発令を受けている場合は2級でも受験資格を得ることができます

そのため、検取発令を最短である30歳になる年に受けると33歳になる年に受験資格を得ることができます

受験者数・合格者数

副検事の選考の受験者数合格者数については、1次試験と2次試験別にそれぞれ見ていきたいと思います

なお、副検事の選考の結果は検察官・公証人特別任用等審査会の議事概要により公表されています

1次試験の受験者数・合格者数

年度 1次試験
受験者数  合格者数 倍率
H23 115 27 4.26
H24 100 25 4.00
H25 116 28 4.14
H26 123 26 4.73
H27 125 27 4.63
H28 141 38 3.71
H29 151 38 3.97
H30 149 46 3.24
R元 154 41 3.76
R2 149 36 4.14
R3 144 47 3.06
R4 119 23 5.17
R5 137 44 3.11

1次試験の合格倍率は年度によって異なりますが、大体3人~5人に1人が合格する倍率となっています

受験者数の約7割検察事務官になるが次いで多いのが裁判所職員になる。

2次試験の受験者数・合格者数

年度 2次試験
受験者数  合格者数  倍率
H23 29 29 1.00
H24 25 23 1.09
H25 30 30 1.00
H26 26 25 1.04
H27 28 27 1.04
H28 39 36 1.08
H29 41 39 1.05
H30 46 43 1.07
R元 44 43 1.02
R2 37 37 1.00
R3 47 45 1.04
R4 25 23 1.09
R5 45 39 1.15

2次試験の合格倍率をみると受験者のほとんどが合格していますので、副検事の選考は1次試験が勝負ということが分かると思います

ちなみに、1次試験の合格者数より2次試験の受験者数が多い年度もありますが、これは1次試験免除者がいるからです

詳しい条件は分かりませんが定年間際の管理職の検察事務官に声がかかる場合があるようですね。

  • 副検事の選考に合格することで副検事に任官することができる。
  • 政令で定める職に3年就いた者などが受験資格を得られる。
    →法務省関係・裁判所・司法警察員・告発機関など
  • 合格倍率は3~5倍で、1次試験通過者はぼぼ最終合格している。
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おわりに

今回は、副検事の概要なり方ついて紹介してきました。

副検事がどういった職種でどんなメリットがあるのか理解してもらえたと思いますので、副検事に興味を持った方は是非目指してもらえればと思います

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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