こんにちは。元検察事務官の検察辞太郎(やめたろう)(@moto_jimukan)です。
来年度から検察事務官になる方や,これから検察事務官を目指す方の中には,運転免許証を持っていなかったり,ペーパードライバーだけど大丈夫かと不安に思っている方もいると思います。
そこで,今回は,検察事務官の運転業務について紹介していきます。
この記事を読むことで,どういった場面で車の運転が必要なのかや,車が運転できない人はどうすればいいのかなどが分かりますので,是非最後まで見てくださいね。
運転業務の概要
まず,検察事務官の運転業務の概要についてですが,検察事務官の職務に車の運転は含まれていませんので,運転免許証を持っているだけでは仕事で車を運転することはできません。
しかし,業務上,車の運転が必要になる場合がありますので,車の運転が必要な検察事務官には「自動車運転付加業務命令」が与えられ,業務として車の運転ができるようになります。
ちなみに,自動車運転付加業務命令のことは,ただ単に「付加命令」と呼ばれていましたね。
なお,付加命令は年度末まで有効なものになりますので,年度初めに,車の運転が必要な検察事務官は申請して付加命令を受けるという形になります。
そのため,逆に考えると,ペーパードライバーで車を運転したくなければ,申請をしなければ仕事で運転をしなくて済みます。
- 仕事で車を運転するためには,自動車運転付加業務命令が必要。
- 付加命令を申請するかしないかは自己判断で可能。
では,業務上,車の運転ができないと支障が出ないのかについて見ていきたいと思います。
車の運転は必須なのか
業務上,車の運転が必要となる職種は基本的に以下の職種となります。
- 徴収・執行担当
- 捜査部の立会事務官
検察庁の仕事の中では,捜査部の立会事務官と徴収担当・執行担当の検察事務官が車を運転する機会が多いです。
徴収担当と執行担当の場合は,罰金未納者や自由刑の言い渡しを受けた逃亡者の所在捜査等を目的に外出しますが,基本は複数人で目的地に向かうため,自身が運転できなくても支障はありません。
しかし,立会事務官の場合は,検察官が車の運転をすることができないので,車の運転が必須なように思われます。
そこで,立会事務官がどのような場面で車の運転が必要になるのかや,ペーパードライバー等で車の運転ができない場合はどうしたらいいのかについて見ていきたいと思います。
立会事務官(捜査部)の運転業務
まず,捜査部の立会事務官は,以下のような捜査の場合,検察官と共に外出することになります。
- 被害者最寄りの警察署での取調べ
- 警察が行う現場検証の立会
- 病院での医師からの事情聴取
など
上記の捜査は一例ですが,捜査部の立会事務官は意外と外に出る機会があります。
目的地の移動手段としては,ICカードを使っての公共交通機関が基本となりますが,目的地が公共交通機関で行きづらい場所の場合は,立会事務官が車を運転して目的地に行くことがあります。
立会事務官としても,事件記録や取調べ用のパソコン・プリンターを持ち運ばなければならないため,車の運転が苦でなければ車の方が助かります。
ちなみに,私が立会事務官のときは率先して車を使っていましたね。
車の運転ができない場合の移動手段
目的地が公共交通機関で行きにくい場所で,立会事務官が車の運転ができない場合は,以下の手段で目的地に行くことになります。
- 検察技官(運転手)に依頼
- タクシーを利用
では,それぞれの移動手段について見ていきたいと思います。
検察技官(運転手)
まず,検察技官(運転手)への依頼ですが,検察庁には捜査権限を持たない技術的な仕事を専門で行う職種の人がいますので,目的地まで車で運んでもらうことができます。
小さい支部には検察技官はいませんが,本庁には必ずいますので,車の運転ができない立会事務官も安心です。
ちなみに,検察技官への依頼は予約制になりますので,外出予定を立てるときはあらかじめ検察技官の予定表を見てからが望ましいですね。
タクシー
次に,タクシーの利用ですが,タクシーを使うには以下の三つの要件のいずれかに該当しないといけません。
- 事件記録等が大量
- 目的地が公共交通機関で行けない場所
- 緊急で目的地に向かわなくてはいけない場合
こららの要件に該当する場合はタクシーを利用することができます。
タクシーを利用するときはタクシーチケットを利用しますので,事件管理の庶務担当者にタクシーチケットをもらい,必要事項を記入してタクシー運転手に渡して目的地まで連れて行ってもらいます。
私もたまにタクシーを利用していましたが,急遽司法解剖の立会が決まったときなどに利用していましたね。
ちなみに,タクシー利用の要件を満たしていないのにタクシーを利用してしまうと,タクシー料金の支払いを担当している会計課に怒られる可能性があるので,タクシーチケットを貰う際に庶務担当者にも一応確認した方がいいかもしれないですね。
検察技官やタクシー利用ができるため,運転免許証を持っていない人・ペーパードライバーで車の運転ができない人も検察事務官になるのに支障はない。
では,最後に,参考に,車の運転ができた方がいいのかについて,個人的意見を述べたいと思います。
【参考】車の運転ができた方がいいのか
検察事務官の車の運転についてですが,私個人としては,以下の理由から車の運転ができた方がいいと思います。
- 自分自身が楽をできる。
- 交通事件を担当する場合,事故や注意義務違反状況をより理解し易い。
立会事務官の場合で言うと,外出時の荷物が結構多いので,車を運転できると人混みや電車を避けることができますので,車の運転ができた方がいいと思います。
また,これが一番の理由になりますが,交通事件を担当する際に,自身が車の運転ができないと事故や違反状況を理解できないので,車の運転ができた方がいいと思いますね。
ちなみにですが,運転免許を取得した後に車の運転をしない期間が長くなるとペーパードライバーになりやすいので,これから運転免許を取る方は取った後すぐ運転練習をするのがお勧めですね。
おわりに
今回は,検察事務官の運転業務について紹介しました。
検察事務官の仕事に車の運転は必須ではありませんので,運転免許証を持っていない方やペーパードライバーの方も,安心して検察事務官を目指してもらえればと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。